海運バブル コロナ最高益の不安#4

脱炭素の世界的な潮流は、重油を主な燃料としてきた海運業界を直撃。LNG(液化天然ガス)への切り替えや、アンモニア、水素など未来の代替エネルギーの実用化に向けた開発が急ピッチで進む。特集『海運バブル “コロナ最高益”の不安』(全8回)の#4では、ルールチェンジに備える各社の取り組みと、その将来を占う。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

欧州ではすでに実用化された「巨大凧」
2050年CO2「ネットゼロ」目指す戦い

 外航海運の大型船の上に翻る、巨大な「凧」――。上写真は、川崎汽船が早ければ2022年度中にも実用化を目指す「Seawing」という装置だ。

 航空機大手の欧州エアバスから分社化したAIRSEASが開発し、エアバスの部品運搬船にすでに搭載されている。凧が広がると、その面積は500平方メートルの大きさというから驚く。

 帆船のように、海上の風を推進力に変えて船を動かす仕組みで、川崎汽船が自社の大型バルクキャリア(穀物や鉄鋼石などのばら積み船)で2年間、AIRSEASの協力により調査した結果、二酸化炭素(CO2)排出量を従来の同型船より20%以上、年間5200トンの削減が期待できるという。

 凧だけではない。アンモニア、水素、風力発電事業への関与など、海運各社が重油に代わる燃料や自然エネルギーへの取り組みに力を入れている。温室効果ガス排出量の削減が世界的な潮流となる中、世界の顧客から選ばれ続けるには、自社船からの排出量を減らし、クリーンな運搬手段だと訴求していく必要があるからだ。

 世界的なルールチェンジの大波が押し寄せる中、50年に温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す日本の海運3社。大変革期にあって、1位日本郵船、2位商船三井、3位川崎汽船で固定された国内の業界序列に変化の可能性があるのか、次ページで読み解いていく。