学び直し“裏技”大全#3Photo:PIXTA,123RF

大学受験で全滅したが、浪人もしたくないという人向けの一発逆転の秘策がある。特集『資格・大学・大学院で自分の価値を上げる! 学び直し“裏ワザ”大全』(全11回)の#3では、現役時代は「日東駒専」などに受からなかった学力でも、4割以上の人が旧帝大など難関大学の卒業者になれるという裏ワザを紹介する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

入試科目が少なく国公立大も
複数の大学を受験できる

 大学1~2年生や短大生などの「学び直し」としての有効な手段が、他の大学への編入だ。

 大学編入試験対策の草分けである大学受験予備校、中央ゼミナールの粕谷裕一ステップアップサポート部部長は、近年の大学編入事情について、「大学受験で安全志向が高まった結果、妥協して入学した大学への不満から編入を考える学生が増えている」と話す。「国立大学医学部から他大学の別の理系学部に移るように『やりたいことが違った』という場合もまれにあるが、多くは日東駒専など中堅未満の大学から難関大学を目指すケース」(同)だという。

 本特集#1『大学受験1浪で「偏差値」「将来の年収」はどれだけ上がる?独自試算で浪人の費用対効果判明』で、「仮面浪人」の増加に触れたが、ほぼ同じ構造があるといえそうだ。一方でその仮面浪人と比べると、編入にはさまざまなメリットが存在する。

「まず、4年間で卒業できるため時間的、金銭的なロスがないこと。さらには編入試験の科目が少ない上に、大学受験のように興味のない科目を我慢してやる必要がないこと。そして、国公立大学でも編入試験日が異なるので何校でも受けられること」(同)だ。

 逆に、編入ならではデメリットも。編入試験を実施する大学でも一部の学部のみであることが多く、東京大学や一橋大学、早慶のようにほとんど編入試験を行わない大学もあり、一般受験に比べると選択肢が限られるのだ。

 この編入試験において「難関」と位置付けられている大学(経済・経営系学部)は、例えば以下の各校が挙げられる。

●国立
 東北大学経済学部
 筑波大学社会・国際学群(経済学)
 お茶の水女子大学生活科学部(経済学)
 横浜国立大学経済学部
 名古屋大学経済学部
 京都大学経済学部
 大阪大学経済学部
 神戸大学経済学部/経営学部 など
●私立
 上智大学経済学部 など

 編入試験の多くは、国公立大、私立大学共に「英語」「小論文(専門科目)」「面接」の3科目。上記の大学では、高い英語力(TOEIC/TOEFLの得点)が求められる上、実質の合格者数が少ないことが特徴だ。例えば、京都大学の募集人数は20人以内だが、実際の合格者は5人前後にとどまる。

 だが、それでも一般入試で同じ大学に入るよりは、難易度が格段に下がるというのが予備校関係者の共通見解だ。

 そんな一般入試と編入試験の難易度の格差に着目した、大学受験に失敗した高3生や高卒生を対象とする、裏ワザともいえるルートも誕生している。

 現役時代に日東駒専や産近甲龍に合格できなかった学生が大半を占めるにもかかわらず、そのルートを利用した学生の98%超(2020年度)がいずれかの4年制大学への編入学に成功し、そのうち40%超が京都大学や大阪大学、名古屋大学、東京外国語大学などの国公立大や難関有名私大に合格を果たしているというから驚きだ。

 次ページでは、その知る人ぞ知るカラクリを見てみよう。