似ているようで異なる
ウクライナと台湾の問題

 ウクライナと台湾の問題を見る上で、もう一つ重要なポイントは、領土を巡り、ロシアによるウクライナの認識と、中国による台湾の認識が異なっている点だ。

 中国外務省の華春瑩報道局長は2月24日、記者会見で、ロシアの軍事侵攻について「中国の同意は必要ない」と語った。これは、ロシアとウクライナの問題に中国は関与しないという立場を明確にしたものだ。

 事実、中国は、ロシアが2014年、ウクライナ南部のクリミアを併合し、国連安保理で併合を「無効」とする決議案が出された際も棄権し、ここでも「関与しない」姿勢を見せている。

 今回の問題でも、中国の王毅外相は2月22日、アメリカのブリンケン国務長官の電話会談で、「対話と交渉を通じて事態を緩和し、相違を解決するよう求める」と伝え、ロシアによる2州の独立承認を支持しない考えを明確に示した。

 中国の根底には、「台湾は自国の領土であり、統一こそ実現できていないものの、分裂しているわけではない」という認識がある。ウクライナ東部2州の独立を承認したロシアを支持すれば、この認識が揺らいでしまう恐れがあるからだ。

 この点も、ロシアとウクライナ、中国と台湾を考える上で大きな違いである。