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シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

地を這いながら“匠の味”を見出した老夫婦の意地
外食戦国時代に固定客を増やす「媚びないラーメン店」

――高円寺の「らぁめん ひら石」店主・平石晃さんのケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第16回】 2012年12月25日
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 連載第16回は、極端とも言えるほどに浮き沈みの激しい外食業界で、生き残りがいっそう厳しくなっているラーメン店のシュリンクの実態に迫る。

 今回紹介する個人ラーメン店の店主は、チェーン店に加盟することなく、価格破壊にうろたえることがない。妻はそんな夫を献身的に支える。老夫婦が味わった「業界の味」とは……。人物名と店名は実名でお伝えする。

 あなたは、生き残ることができるか?


今回のシュリンク業界――ラーメン店

 ラーメン店の市場規模を示す統計データは見当たらないが、5000億~7000億円と推計されている。個人経営店が圧倒的に多く、個人が8割、法人が2割と言われる。

 店舗数は「専門店」で約4万軒、ラーメンを提供する食堂や中華飯店、ファミレス、居酒屋などを含めると、約20万軒。店舗数はここ数年、横ばい状態であり、激戦区では廃業する店も多く、入れ替わりが激しい。

 ここにきて、大手資本のチェーン店の進出も加速しており、「290円ラーメン」の登場などによって価格破壊が進む。生き残りが一段と熾烈になっている一方で、味にこだわることで固定客をつかみ、1000円前後のラーメンを提供する店もある。市場は頭打ちの状態が続いているため、大手チェーン店の中にも海外市場に活路を求める店が現れ始めた。


 「お客さんに喜んでもらえるのが、今の生き甲斐。こういう味のラーメンをつくれることに誇りを感じているし、感謝もしている。ありがたいことだよね」

「らぁめん ひら石」の店主・平石晃さん(70歳)は、カウンター越しの椅子に座り、少し笑いながら話す。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

「働いても働いても、生活が楽にならない」。それは気のせいではない。日本の多くの業界は今、先が見えない「構造不況」の暗闇の中にいる。シュリンクする業界で働く人々にとって、業績アップ、収入増、労働環境の改善などを目指すことは難しい。しかし、そんななかでも、他人と違うアイディアを考案したり、誰も気づいていないビジネスを見出すことで、必死に生き延びようとする人はいる。この連載では、シュリンク業界で絶望し、起死回生を図るビジネスマンや個人事業主の生の姿を描くことを通じて、私たちがビジネスで心得るべきヒントや教訓を考えていく。

「シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史」

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