FNNが3月19、20日に行った世論調査(※)によると、5000円を「支給すべき」が41.2%、「支給すべきでない」が54.5%と、反対意見の方が多い。

※全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式〈無作為標本抽出法〉)を実施し、1029人が回答

 反対の理由には、そもそも「年金受給者に現金を給付するのはおかしい」と考える人と、「5000円では少なすぎる」と思う人など、複数の可能性がある。そのためこの調査だけでは何が問題なのかは判然としないのだが、今回の5000円支給案には深刻な違和感を持つ理由が複数ある。

「選挙前」だからか?
10万円給付のときの心配が現実に

 そもそも、こんな案を誰が考えたのか。

 報道によると、7月の参議院選挙を前に、現金給付政策を好む公明党に配慮した、自民党筋の誰かが提案したらしい。発案や検討は官僚や政治家が抱えるスタッフなのかもしれないが、政府なり自民党なりの要職にある人物が了承しなければこうした案が世間に出ることはない。責任者として「誰か」がいるのだ。

 筆者は政治家を直接取材しているわけではないので、本稿でそれが誰であるかの特定には参加しないが、「これは、あまりにひどい」と言っておく。

 まず、「選挙の前になると、現金給付政策が出てくる」という流れが、あたかも選挙民の買収のようだ。これは、前回の総選挙の前に出た10万円給付政策の際に心配したことでもある(詳細は『18歳以下に10万円相当給付、所得制限もクーポンも頭が悪すぎる理由』参照)。後述のように現金給付政策自体は悪くないのだが、選挙のたびに現金給付が出てくる状況はいささか情けない。

 それにしても、前回は10万円だったが、今回は5000円だ。それも、「毎月5000円」ではなく「1回限りの5000円」だ。報道のように公明党への配慮が背景だということなら、公明党もずいぶん安く見られたものだ。