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森信茂樹の目覚めよ!納税者

気になる安倍新政権の目線の高さ
世界の投資家は財政健全化への姿勢も注視

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第41回】 2013年1月4日
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気になる政策目線の高さ

 新年を迎えた。オールスター内閣の安倍新政権は、滑り出し上々に見える。発足の前から、為替は円安になり株式市場は1万円を超え、出来高も大幅に増加した。市場は、公共事業の復活と一層の金融緩和という「アベノミクス」をはやし、大いに評価している。

 国民も安倍政権に対して、最初はおっかなびっくりだったが、ここまで市場の反応がいいと、ひょっとしたら失われた20年と呼ばれる長い閉塞感をぶち破る破壊力があるのでは、と新年早々期待も出始めている。

 まるでいいことづくめの新政権の発足だが、気になることがある。それは「政策の目線の高さ」である。

日銀への圧力

 まずは、日本銀行への対処の仕方である。ここまでデフレ経済が長続きしている(日銀の政策が効を奏していない)ことや、日銀が市場との対話が十分できていないこと(第18回参照)から考えれば、日銀に一層の金融緩和とその責任を求めることは、当然であろう。その意味で、デフレ脱却の手段として、2%程度のインフレターゲットの導入を促すことは必要な政策といえよう。

 しかし、日銀に圧力をかける方法は、もう少し丁寧にする必要があるのではないか。次回の金融政策決定会合で、日銀がインフレターゲットを導入しなければ日銀法を改正する、と総理が公言することは、あまりに日銀の独立性を踏みにじってはいないだろうか。

 金融、あるいは金融政策の世界で、もっとも気をつけるべきことは、わが国だけでなく世界の投資家を相手にしているという認識を持つことだ。なぜなら、国債の売買や為替取引は、基本的にグローバルな取引として行われているからである。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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