本書の見どころ

(1)タバコが健康上有害であることを教育したとしてもタバコの誘惑から子どもたちを守ることはできない。子どもたちには誘惑への反論トレーニングをしておくべし。
(2)キャンペーンを実施するなら、マスメディアを利用するよりも人を雇って直接訴えるほうが、効果が期待できる。
(3)好きでもない練習を苦もなくやるには、練習を楽しんでいるイメージを持つなどメンタルトレーニングが効く。「イヤだな」と思いながらやるから辛くなるのだ。

要約本文

◆痛いところをついてくる心理学
◇恋愛は、惚れたほうが負け

 恋愛は「好きになったら負け」だ。

 相手のほうから好きになってもらって、告白されて付き合いたいと思う人はあまりいない。ふつうは、自分が好きになった相手と付き合いたいと思うものだ。しかし、恋愛心理学の「最小関心の法則」に沿って考えれば、本当は相手に好きになってもらったほうがいい。

「最小関心の法則」とは、相手に関心を持っていないほうが恋愛を有利に展開できるという法則だ。言ってみれば、好きになったほうには「惚れた弱み」ができるということだ。

 恋人のいる人や既婚者を対象に調査にした、イリノイ州立大学のスーザン・スプレッチャーの調査では、相手のことをあまり好きではない人のほうが相手に対して強いコントロールを発揮できることがわかった。相手に惚れている側は、無茶な要求にも応じてしまうのだ。ただし、この調査では、片方だけが尽くしているカップルは破局を迎えやすいこともわかっている。惚れたときも惚れられたときも、注意しなければならないのかもしれない。

◇「暴力的なゲームが犯罪を増やす」は杞憂

 人を殺したり、公共物を破壊したりするゲームがある。暴力的なゲームをやる人が増えれば、それを真似して現実に罪をおかす人が増えると警鐘を鳴らす人がいるが、これは杞憂だ。ヴィラノーヴァ大学のパトリック・マーキーは、「暴力ゲームが犯罪を増やす」という主張が間違いだと、統計的データで証明している。

 マーキーによると、1978年から2011年までで暴力的なゲームは年々売り上げを伸ばしているが、暴力犯罪は増えるどころか減少している。暴力的なゲームが犯罪につながるのであれば、売上が伸びてプレーヤー数が増えたら、犯罪も増えていかなければおかしい。統計を見れば、そうでないことは明らかだ。