子どもは悪い誘いを受けたとき、心の中ではそれが悪いと気づいている。それでも友だちの誘いを断れないのは、断り方を知らないからだ。「タバコはよくない」という精神論では効果がない。具体的なセリフを教えて、断り方をトレーニングしておくのがよい。

◇ネットショッピングの心得

 人間には自分に都合の悪い情報を避けようとする傾向がある。たとえば、インターネットショッピングで「安さ」にばかり気を取られていると、売り手側の悪い評判を見逃すことになってしまう。

「ネットで買い物をするのなら、ネガティブな情報にこそ注目すべき」。そう忠告するのは、ニューヨーク市立大学のシャハナ・センだ。シャハナによると、本や映画などの趣味的な品物については、ネガティブなレビューは役に立たないと感じる人が多い。一方、デジカメ、パソコン、プリンターなどの実用的な品物に関しては、ネガティブなレビューを「役に立った」と答えた人が61%、「役に立たない」と答えた人が39%であった。ネガティブな情報を避けていては、ありうる不具合などを事前に知ることができず、後悔することになりかねない。実用品の購入やビジネス、株式投資などでよりよい判断をするためには、意識的にネガティブな情報を収集したほうがいいだろう。

◆心と身体の心理学
◇ダイエット成功の鍵は「ごほうび」にあり

 ペンシルバニア大学のケヴィン・ボルプは、30~70歳で、BMIが30~40の人を募集し、次のようなダイエット実験を行った。

 プロジェクトの目標は1週間に0.45kgの減量。第1グループでは自分で決めた金額を実験者に預け、減量に成功したら月末に返金してもらえた。第2グループも同様にお金を預けるが、減量目標を達成したらくじを引き、当たれば返金してもらえる形式だった。第3グループでは毎朝食事前に体重測定をするだけとした。

 16週間後、第1グループの減量は平均6.35kg、第2グループは5.94kg。第3グループは1.76kgという結果となった。第1グループのように、「痩せれば確実にお金がもらえる」という「ごほうび」がモチベーション維持にきわめて効果的だったのだと考えられる。ダイエットに取り組むときは、自分なりのごほうびを誰かに預け、うまくいったら返してもらうようにすると良いかもしれない。