「ゲームをするとバカになる」「マンガばかり読んでいるとバカになる」といった主張もよく聞く。ラジオ、テレビ、パソコンなど、教育上さまざまなものが悪者扱いされてきたが、たいていの場合には、明確な根拠はないのだ。

◇食べ過ぎは満腹感では防止できない

 人はなぜ食べ過ぎてしまうのか。どうやら、お腹がいっぱいになったからと食べるのをやめるわけではないようだ。自分の食べた量がわからないと、限界まで食べてしまいやすいらしい。

 コーネル大学のブライアン・ワンシンクは、あるスポーツバーでこんな実験を行った。スーパーボウルの試合を観戦しながら2つのグループにチキンウィングを自由に食べてもらう。片方のグループには食べ終わったものを片づけてから新しいチキンウィングを取ってこさせ、もう片方には食べ終わった骨をプレートに積み上げたまま新しいチキンウィングを取りに行ってよいことにした。

 すると。自分が食べた量が一目瞭然の後者のほうが、前者に比べて27.3%も食べる量が少ないという結果が出た。

 自分が食べた量が目に見える形になっていれば、抑制力が働き、食べ過ぎを防止できるのだと考えられる。肥満を予防したいなら自分がどれだけ食べたかを意識することだ。

◆すぐに役立つ心理学
◇子どもに教える悪い誘いの断り方

 中高生になるとタバコに手を出す人が現れはじめ、そういう子どもは往々にして他の生徒も仲間に引き込もうとするものだ。こうした悪い誘いから子どもたちを守るには、どうすればいいだろうか。

 解決策は、「反論の仕方を教えておくこと」だ。実は、タバコが有害であることを教えたところであまり効果はない。

 ハーバード大学のアルフレッド・マッカリスターによる実験を紹介しよう。実験対象は2つの中学校の1年生。片方の学校ではタバコや麻薬への誘惑に対する具体的な反論方法をトレーニングし、もう一方では従来通り、タバコが健康上有害であると教育した。2年後に再調査をしたところ、反論トレーニングをしたほうが、タバコやマリファナを経験した子どもが圧倒的に少なく抑えられた。