◇イライラは栄養バランスの崩れから

 リーズ大学のダリル・オコナーが成人422人を対象として1週間の食事内容を調査したところ、他人と口論した日には脂質や糖質を多く含むスナック菓子の消費量が増え、野菜の摂取量が減ることがわかった。

 人はイライラすると満腹感や満足感を得られるものを食べようとする。チョコレートやスナック菓子を食べれば、一時的に良い気分になりイライラが収まるような気がするからだ。しかし、これは一時の錯覚だ。一時的な満足のために栄養バランスが崩れてしまっては、かえってイライラを募らせることになってしまう。

 イライラしている人が本当に必要なのは、野菜を食べることのほうだ。食生活は意識しなければなかなか変えることはできない。スナック菓子の代わりに野菜スティックを取り入れるなどして、野菜を食べる食生活を身につけよう。

◆人間の性質にまつわる心理学
◇マスメディアによるキャンペーンは効果薄

 ラテンアメリカの最貧国ボリビアでは水道設備が未整備だ。浄水装置は高額のため簡単には設置できない。そんななか、ペットボトルに入れた水を陽の光に当てるだけでも効果があることがわかり、これを国民に普及させるためにキャンペーンを実施することになった。

 スイス連邦水産科学技術研究所のアンドレア・タマスは、ボリビアの4つの地区で異なるキャンペーンを行い、その効果を比較した。

 1つ目の地区では何もしない。2つ目の地区では車を走らせながら拡声器で周知して回った。3つ目の地区ではスタッフ3人で各世帯を訪問しながら説明して回った。4つ目の地区では学校の先生に普及促進をお願いした。

 何もしなかった地区は当然普及しなかったが、2つ目の地区のマスメディアに頼る方法もまったく効果がなかった。4つ目の地元のオピニオン・リーダーに普及促進を手伝ってもらうやり方は効果はあったが、もっとも効果的だったのは3つ目のキャンペーンだった。キャンペーンをするなら人が直接訴えなければならないことがわかった。