日本企業の存在感がまだ乏しいアフリカを、あえて重要拠点と捉えて積極投資に打って出ている。その理由と今後の戦略を聞いた。

豊田通商社長 加留部 淳<br />仏商社買収で基盤を強化し<br />アフリカの開拓で先陣を切る<br />Photo by Toshiaki Usami

──アフリカで強固な事業基盤を持つフランスの商社、CFAO社を、1000億円強で買収する。

 アフリカは、新興国の中でも10年先に花開くだろう「明日」の新興国だ。日本企業の進出はまだまだこれからであり、積極的な投資には驚かれることが多い。

 だが、実は豊田通商と合併した旧トーメン時代を含めるとすでに80年以上の歴史がある。ケニアで30年以上、自動車関連のビジネスを経験した社員もいるほど、アフリカで築いてきた人脈やノウハウは他社に勝る。未開拓地を開拓してこそ商社であり、だからこそ重要な営業拠点と位置付けている。

 CFAO買収は、非常に有意義な案件だ。当社がケニアを中心としたアフリカの東側の地域で営業の地盤を強化してきたのに対して、CFAOはフランス語圏の多い西側の地域に、強固な自動車の販売網を築き上げており、相互補完ができると期待している。

──自動車関連以外も強化していくのか。

 CFAOは医薬品や飲料の販売でも実績を伸ばしている。買収後は、自動車以外の分野でのノウハウも獲得したい。この買収により、アフリカ地域からの売上高は、今後5年間で現在の倍近い年間約9000億円になる見込みだ。

 会社全体としても、2020年までに生活関連・資源関連の事業を自動車と並ぶ経営の柱に育てようとしている。強みである自動車関連の分野は大事にしながら、その他の事業をさらに強化しなければいけない。