「価格決定権」のバトル
かつてはダイエーvs松下も

 それは、譲れない「価格決定権」の奪い合いだからだ。

 スーパー業界3団体がまとめた「統計・データでみるスーパーマーケット」によれば、21年末時点の全国のスーパーの店舗数は2万2762店であるが、オーケーの店舗数は首都圏を中心に約130店。オーケーで花王製品が販売中止されたとしても、オーケーの店舗数はスーパー全体の1%に満たず、足元の花王の売り上げにはそれほど影響を与えないだろう。オーケーにとっても大した額ではないし、花王以外のメーカーを扱えば良いだけである。

 つまり、花王にしてみれば、他の流通業に示しがつかないと判断したし、オーケーからしても花王の例を認めれば、他のメーカーに示しがつかないと判断したとみていい。

 こうした価格決定権を巡るバトルはかつてもあり、例えば、ダイエーと松下電器産業(現パナソニック)の争いが約30年も尾を引いたのは有名な話だ。ダイエーvs松下電器、オーケーvs花王のように、売る側と買う側の価格決定権争いはなくならないだろう。

 ここで、一つの疑問が浮かんでくる。一体、小売りの“安売り体質”を許した犯人は誰なのか――。