自衛隊の増強は続くが
対策は不十分な八重山諸島

 筆者は、日米首脳会談やQuad首脳会合を前に、台湾にもっとも近い島、沖縄県与那国島(与那国町)と尖閣諸島を行政区域に抱える石垣島(石垣市)へと向かった。

 台湾とは100キロ程度しか離れていない与那国島。この距離は東京―熱海間とほぼ同じだ。人口は1700人(そのうち自衛隊員が1割)。日本最西端の島だ。島の中央には、中国軍の動きを監視するためのレーダーがそびえる。

与那国島に置かれた陸上自衛隊のレーダー与那国島に置かれた陸上自衛隊のレーダー(筆者撮影)

 その島には、4月1日から航空自衛隊の移動式レーダー部隊が配備された。来年度までには電子戦専門部隊も配備される。

 これによって、与那国島の人口の2割近くを自衛隊員が占めることになり、ダイビングなどで人気の島は、「基地の島」としての顔も持つことになる。

 しかし、島民からは不安の声が上がる。その代表格は、糸数健一町長だ。

「これだけで島を守り切れるのでしょうか。電子戦の専門部隊とはいっても車両2台分くらいの増派で大丈夫なのでしょうか。もっと増やしてもらいたい」

「島民の避難も大きな課題です。島内での避難は防災訓練で実施していますが、島外への避難は全然やっていません。陸路では逃げられないのでフェリーと航空機で、ということになりますが、フェリーは120人程度、航空機は50人程度しか一度には乗れません。とても間に合わない」

 与那国町漁業協同組合の嵩西茂則組合長も次のように語る。