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岸博幸のクリエイティブ国富論

マスメディアが諸手を挙げて歓迎する
「アベノミクス」の2つの問題点

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第212回】 2013年1月11日
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 年が明けて安倍政権の経済運営が本格化し、今日にも緊急経済対策が閣議決定されるようです。新聞などの報道を見る限り“アベノミクス”を前向きに評価する声が多いですが、本当にそうでしょうか。徐々に問題点も出てきているのではないでしょうか。

13.1兆円も本当に必要なのか
補正予算を巡る疑問

 安倍政権が金融緩和、財政出動、成長戦略という3本の矢で構成される“アベノミクス”を展開すること自体は非常に正しいと言えます。デフレ脱却と成長率の底上げのためには、短期的には金融緩和と財政出動の組み合わせは理にかなっていますし、中長期的には財政出動に頼らず民間が自律的に成長できるようにするための成長戦略が不可欠だからです。

 従って、現状では安倍政権の経済運営を基本的に評価すべきですが、ただ同時に、細かい部分では既にほころびが目立ってきているのではないでしょうか。

 その1つは今日閣議決定される緊急経済対策の関連です。経済対策の裏付けとなる補正予算は国費13.1兆円(うち基礎年金の国庫負担2.8兆円)という大規模なものになっていますが、この数字は過大であり、バラマキと批判されてもしょうがないのではないでしょうか。

 過去最大の補正予算は、リーマンショックへの対応で講じられた2009年度の第1次補正予算ですが、その予算額は13.9兆円でした。また、東日本大震災への対応で、被災地の復旧・復興を進めるための本格的な予算措置である2011年度第3次補正予算の予算額は12.1兆円でした。

 即ち、今回の補正予算は、これらの突発的な外的ショックへの対応の補正予算と同じくらい大規模なのです。しかし、最近何か大きな外的ショックがあった訳ではありません。昨年春から景気後退が続いているとはいえ、経済の落ち込みはリーマンショックや東日本大震災のときよりも軽微です。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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