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「人間の本質を、どれだけ生肌で、生身の感覚で大切に紡げるか。それが、自分にとっての勝負」(ロフトワーク・林千晶)――古川享が聞き出す 今を駆けるスマート・ウーマンの本音

林 正愛 [アマプロ株式会社社長]
【第7回】 2013年1月17日
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古川:ジョイとコンプリメンタリーな関係(相互補完的な関係の意)になって、足りない部分を補足できるかどうか、そういう呼吸が分かっていることが大事で、重要なパートナーシップなんだと思います。具体的にどの国でどんなことをしようとしているのですか。

:私のミッションは、日本で、日本のメンバー企業のイノベーションをどう起こすか、だと思っています。私が今一番興味があるのは、やはりイノベーションなんです。時代は変わってきて、戦後に通用したルールはもう通じなくなっています。企業は新しいバージョンにアップデートしなくてはだめだと思うのですが、その時に必要なのがクリエイティブの視点で、常識ではなく、ものごとの価値を見極めることが大事だと思います。

 時代は変わっても、人間を動かす欲求自体はそんなに変わらないのですが、ただ、以前よりもっとダイレクトに、ワクワクするかたちで、人が幸せだなと思えることが実現できる時代になってきています。それをどうやったら、世の中を変えたいと思っている熱い人たちと、そして今まで通りで変わりたくないと思っている人たちも巻き込んで、変革を実現し成果につなげるかが、私のチャレンジです。ジョイも同じだと思います。

 メディアラボの役割というのは、企業へ何か最終製品を渡すことではなく、むしろ最初のユニークなアイディアだったり、具現化するための研究開発、そして価値に触れることができるプロトタイプの提供ではないかと思っています。だから、投資といっても、どちらかというと未来への投資です。

 今は中国や韓国、中東などには、そういう未来についての研究をちゃんとやっておいてね、と多額のお金を出してくれる企業がそれなりにいますが、日本は不況も長引いていて、状況が厳しい。そんな大切なお金を預かっています。

古川:今のお話を聞いて、企業が何に投資するか、ということで思い出していたことがあります。

 昔、CSK創業者の大川(功)さんがシアトルのビル・ゲイツを来訪されて、「(当時子会社だったセガの)ドリームキャストというゲーム機の販売不振に際して、セガが経営危機に陥る前に、Xboxにセガ互換のレイヤーを作って、過去のゲームをそのままお客様が使えるように、既存のお客様に対する保証とXboxへの移行を実現したい。それを前提に、セガの新規開発ゲームをXboxに提供したい」と提案されました。

 最後の最後で合意に至りませんでしたが。その理由は、大川さんが、全てのXboxはインターネットにアクセスできるべきで、その追加ハードコストのモデム代が30ドルかかる。初期生産の数百万台までは、大川さん自身がポケットマネーから出すから是非入れてくれと頼んだのです。その時、ビル・ゲイツは机をひっくり返す勢いで「ゲームにインターネットはいらないだろう」と激しい口調で否定されました。とても落胆された大川さんは「あんなこと言ってるけど、インターネットいるよね、古川君」と言っていました。ビル・ゲイツのところへは何度か訪問しましたが、実現しませんでした。

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林 正愛
[アマプロ株式会社社長]

りん・じょんえ/BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社、日本経済新聞社にて、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を活かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。
企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月から慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で学んでいる。2児の母。

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