本書の要点

(1)論破力は諸刃の剣である。人を論破するときには、論破したその先をまず想像する必要がある。
(2)もっともらしく聞こえる意見よりも、事実の方が断然に強い。
(3)「好き・嫌い」にまつわる主観的な議論は不毛である。しかし、その好き・嫌いの理由を考えることは大切である。
(4)ジャッジという第三者がいない状況では議論しない。1対1の議論に持ち込まれると脇の甘さが露呈する。
(5)いろんな相手とのキャッチボールを重ねて、人の思考パターンをどんどん集めていく。そうしていくと、議論しやすくなるだけでなく、人と話すこと自体が楽しくなる。

要約本文

【必読ポイント!】
◆議論とはゲームである
◇「論破したその先」をまず想像する

 夫婦ゲンカでパートナーを、営業の場面で相手を、職場で上司を論破しても、プラスになるとは限らない。営業ならば相手からモノを買ってもらうことが目的である。相手を言い負かすことで、相手から「絶対に買わない」と思われてしまっては意味がない。上司を論破したことで転勤させられる人もいるだろう。

 まず覚えておきたいのは、実生活において「論破力は諸刃の剣」であるということだ。そのため、論破力の取り扱いには注意しなければならない。論破力はあくまで人生をうまくいかせるための手段であり、論破したその先の人生まで想像しておく必要がある。

◇意見を言わずに事実を言う

 著者は、自身の感情ベースではなくて事実ベースで話をすることが多い。「事実に対抗するのはものすごく難しい」からである。

 たとえば、「犬は魚を食べますよね」と言ったときに、「いや、食べない」という反論を成立させることは困難である。犬が魚を食べるのは事実だ。そのシーンを動画で見せると言った時点で、ゲームオーバーとなる。