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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の33「追い出し部屋」について考える
自分がリストラ対象者になったとき

江上 剛 [作家]
【第33回】 2013年1月22日
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 去年の年末に朝日新聞一面に「追い出し部屋」の記事がどーんと掲載された。

 大手電機会社では「追い出し部屋」が存在していて、そこにリストラ対象で辞めない人を押しこみ、単純作業や他部の応援など、とてもプライドが保てないような仕事をあてがって退職に追い込む非道なことが行われているという内容だった。

 「追い出し部屋」は、キャリア開発室などの名前が付けられており、会社側は新たな仕事に挑戦してもらうための準備室だと、決して「追い出し」の事実を認めようとしない。まあ、当然だけどね。

「非情銀行」で描いた「追い出し部屋」

 厚生労働省は、実態を把握して、不当な解雇が行われていないかと監視するらしいが、無理だろう。会社側が認めない以上は実態が分かるはずはない。

 この「追い出し部屋」の事は、小説「非情銀行」(新潮社)で「人材開発室」として描いたことがある。2002年に書いた小説だから、10年たってもまだ同じことが行われているということだろう。

 あの時、「追い出し部屋」の責任者の常務が行員に向って「君たちはコストだ」と言い放つが、今の経営者もそのころと全く変わっていないようだ。

 会社が左前になると、固定費を削るか、固定費を変動費に直そうとする。正社員をリストラすれば、固定費が減少するし、それを臨時雇用に変えると変動費になる。こうやって会社は生き残りを図ろうと考えるのだが、いつの時代も工夫が無い。

 「人をなんだと思ってるんだ!」と一発、かましたくなるが、サラリーマンは仕方が無いと諦めるのだろう。

 私も経験がある。早期退職を促す書類が送付されてきた時だ。「なんで俺に送って来たんだ」とものすごく腹が立った。自分では銀行に貢献したつもりだったから、早期退職制度の年齢に引っかっているのは承知していたが、そんな書類を送ってくるとは思っていなかった。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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