ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の32「子曰はく、学んで時に之を習ふ」(論語)
年の初めに考える現代サラリーマンの心の持ち様

江上 剛 [作家]
【第32回】 2013年1月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 2013年はアベノミクスとやらで円安、株高で始まった。もうあちこちで景気が良くなる、よくなるの大合唱だ。

 ひと際、声が大きいのは証券会社なのは仕方が無いが、日銀も経済界も自民党圧勝の前には、何も言えず、逆らいもせず、恭順の意を示し、一緒になって景気回復を煽りたてている。マスコミも同じだ。ついこの間まで、国会前の原発デモを特集していたのに、もうそんなことを記事にしたら国賊になってしまうとばかりに、すっかり原発推進派になってしまった。

 この国は、いつも同じだ。まとまりがいいと言えばいいのだが、長い不景気に我慢が出来なくなって、もうどうでもいいとばかりに同じ方向を向いてしまう。これが興国の道ならハッピーだけど、亡国の道ならみんなで崖に落ちるしかない。

 自民党・安倍政権も今がピークの国民との蜜月にならないように我慢強く、慎重に国政を担ってもらいたい。

景気が良くなるほど悩みは深く

 ではこんなに喜んでいる経営者が多い中で、サラリーマンはどうなるのか。景気がよくなり懐が増えればいいが、それは期待できない。定昇もベアも昔の話だし、今やほとんどの企業が実績給だ。経営者は給料をあげるより、仕事があるだけ喜べというスタンスだ。本当の景気回復は、内需が拡大しなければならないのだが、インフレ期待は資産インフレのみで、株や土地を持っている人だけが潤う社会がまた来るに過ぎない可能性は高い。

 サラリーマンは給料も上がらず、日常の物価が資産インフレに連れて上がり、ワンコインランチはなくなり、今まで飲んでいた食後のコーヒーも諦めなくてはならなくなるだろう。サラリーマンの悩みは、人間関係、出世、自分の評価だというが、今年は、景気が良くなればなるほど悩みは深くなるだろう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

⇒バックナンバー一覧