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「追い出し部屋」の背景と対策

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第265回】 2013年1月23日
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リストラ対象者を一堂に集める
「配属先は『追い出し部屋』」の衝撃

 昨年末の『朝日新聞』(12月31日)の一面に、「配属先は『追い出し部屋』」と見出しの立った印象的な記事が載った。「追い出し部屋」とは、パナソニック・グループの従業員がそう呼ぶ、リストラ対象社員を集めてまとめて置いておく部署のことだ。

 横浜市にある同グループの子会社にその部屋はあり、がらんとした室内に100台の古い机とパソコンが並んでおり、他の部署から応援要請があればそれに応えるのが仕事だという。

 「追い出し部屋」は、もちろん会社の正式な名称ではなく、「事業・人材強化センター」(BHC)が正式な部署名で、リストラ対象として狙われた社員は、上司から、会社が募集する希望退職に応じるか「BHC」への異動を受け入れるかの、二者択一を迫られるのだという。

 記事によると、同類の部署は他社にもあり、たとえばソニー・グループでは「キャリアステーション室」、NECグループでは「プロジェクト支援センター」といった名称の部署が存在するという。

 また、自分自身が社外での自分の出向先を見つけることを業務内容とする「企業開拓チーム」という部署を設けている朝日生命保険のような会社もある。

 これらを「工夫」と呼ぶのがいいかどうかは迷うところだが、会社としては、実質的には指名解雇したい社員を自発的な「自己都合退職」に誘導するための有力な「仕組み」だ。

 会社側から社員を個別に解雇しようとすると、就業規則違反などの正当な理由を用意しておかなければ、訴えられて敗訴するリスクがある。このため、「あなたの名誉のために、自己都合退職扱いにしてあげるから……」などと社員を説得して自分から辞めるように試みたり、それぞれの部署で社員の居心地を悪くして(つまり「虐めて」)自主退職に追い込んだりすることは、日本の多くの会社でこれまでに行われていた。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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