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デジタル流行通信 戸田覚

百花繚乱のモバイルデータ通信事情
“MVNO”で選択肢が急拡大の予感

戸田 覚 [ビジネス書作家]
【第71回】 2009年4月6日
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MVNO
携帯電話やデータ通信のインフラを他社から借りて、サービスを提供する“MVNO”が、最近にわかに注目され始めた。IIJはその代表格だ。

 “MVNO”という言葉をご存じだろうか? 「Mobile Virtual Network Operator」の頭文字を取った略語で、日本語に訳すと「仮想移動体サービス事業者」である。

 いわゆる“回線借り事業者”と考えればよく、携帯電話やデータ通信のインフラを他社から借りて、サービスを提供している企業だ。

 実は、以前からMVNO事業者は存在した。トヨタ自動車やセコムが独自のサービスを展開していたのだ。この種の事業は、内容が限定されるので、ユーザーにとっては回線購入の選択肢として意識されず、目立たなかったという経緯がある。

 ところが、ここに来て日本通信やIIJ、So-netなどのサービスがスタートし、がぜん市場が賑やかになってきた。

 携帯電話の場合は、事業者が変わるとメールアドレスが変わるなど、ユーザーにとっていくつかの問題がある。ところが、データ通信の場合には、基本的には通話をしないから、どの事業者を利用しても不便はないのだ。

 とはいえ、「借りた回線を販売して価格以外の特徴が打ち出せるのだろうか」という素朴な疑問が残る。今回は、このポイントを中心に取材してみた。

 株式会社インターネットイニシアティブの三木庸彰・営業本部マーケティング企画開発部課長は、次のように説明する。

 「インフラとして異なるのは、川上の部分です。つまり、端末の電波を拾う基地局はイー・モバイルさんの設備を利用しています。さらに、インターネットにつながる部分では、IIJの設備を利用します。インフラが若干異なるので、違いが出る可能性はありますが、ほとんど意識できないレベルでしょう」

 当然だが、使用上の差はなく、決定的に違うのはビジネスモデルだ。

 たとえば、IIJは法人ユーザーが主なターゲットで、ドコモとイー・モバイルの回線を提供している。単にデータ通信の回線を販売するだけでなく、セキュリティ対策やルーターの提供、マルチキャリア対応などの付加価値で差別化しているのだ。

 さらに、法人向けの料金プランでは、価格でも差を付けている。すでにIIJが持っている営業力や既存ユーザーへのセールスでも、キャリアとは異なる強みがある。

 では、それほど法人向けのサービスで強みを発揮しているのに、最近個人向けのサービスにも力を入れているのは、何故だろうか?

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戸田 覚[ビジネス書作家]

1963年東京生まれ。ビジネス書作家、コンサルタント。株式会社アバンギャルド、有限会社戸田覚事務所代表取締役。ハイテク、パソコン、成功する営業のコツ、新商品開発、新事業開発といったテーマを中心に、執筆、出版プロデュース、講演、コンサルティングに携わる。ビジネス誌、パソコン誌、情報関連雑誌をはじめとして多数の連載を抱える。
著書に『あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』『プレゼンの極意を盗め!』(以上、ダイヤモンド社)、『すごい人のすごい企画書』(PHP研究所)、『仕事で使える!クラウド超入門』(青春出版社)、『LinkedIn人脈活用術』(東洋経済新報社)など多数がある。
著者ブログ:http://www.toda-j.com/weblog/
株式会社アバンギャルドHP:http://www.avant-garde.jp/


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