不正だらけだった東京五輪、国葬の裏に不正は?

 ご存じのように、昨年の東京五輪は、コロナ禍で中止や延期を求める声が高まったが、政府や推進派の皆さんから「国家の威信をかけて開催すべき」「いまさら中止にしたら世界から笑われる」という「強引な主張」が多くなされて、最終的に史上初の「無観客五輪」となった。

 国がイベントや事業を「ゴリ押し」する時というのは、そこに巨大な利権など「オトナの事情」があるケースが多い。そういう「無理」を通すためには、水面下でさまざまな不正が行われるものだ

「東京2020」はその典型で、招致段階からIOCへの賄賂疑惑など多くの「不正」が指摘されたが、最近になってまたひとつ大きな「五輪汚職」が発覚した。8月18日、東京地検特捜部が、電通元専務で東京五輪・パラリンピック組織委員会(五輪組織委)の高橋治之元理事を逮捕した。五輪のオフィシャルスポンサーであるAOKIから「コンサル料」を受け取って便宜を図った疑いがあるということだ。さらに、本件に関連して今月6日にはKADAOKAWAの元専務ら2人も逮捕されている。

 これらと同様のことが「安倍国葬」後に発覚してしまうのではないかと心配している。歴代首相もやっていない、特に世界も求めていないにもかかわらず、ここまで国葬をゴリ押しするのだ。「無理」を押し通した東京2020と同じく、裏でさまざまな不正が行われていても不思議ではない。

 では、どんな不正か。

常習化している「改ざん」はお手のもの?

 まずもっとも可能性が高いのは、国葬にかかった費用を過小に抑えるような「改ざん」だろう。

 霞が関では数値や公文書の改ざんがもはや「常習化」している。近年でも18年に財務省の公文書改ざんが発覚したことを皮切りに、厚生労働省による裁量労働制をめぐるデータ改ざんも発覚、さらに中央省庁の障害者雇用数を「水増し」していたことがバレて、21年末には、国土交通省が統計データの書き替えを長年やっていたこともわかっている。

 なぜここまで「改ざん」を繰り返すのかというと、「国を守る」という使命感からだ。官僚にとって、「国」とは我々一般国民ではなく、内閣総理大臣や政府・与党である。なので、このあたりの人たちが掲げる政策や、国会答弁が叩かれることを、全力で防ぐことこそが、公僕としての最も重要なミッションになる。そこで「改ざん」の出番だ。

 官僚の立場的に、一度決まった政策や答弁を変えるということはできないので、公文書や統計の方を変えるしかない。つまり、彼らはモラルが欠如しているわけではなく、「学歴エリート」らしい極めて合理的な考え方に基づいて、「改ざん」に手を染めているのだ。

 それを踏まえて今回の「国葬」の費用を算出していく官僚たちの間で、どんな忖度が起きるのかを想像していただきたい。

 約16.6億円というかなり抑えた金額でもこの批判だ。これがもし実際は30億円かかりましたというような話になれば、岸田政権への逆風はさらに強いものになってしまう。当然、官邸は各省庁に「できる限り無駄な出費を抑えるように」と大号令をかけている。

 しかし、警備費用や人件費などもあるのでコストカットには限界がある。そこで「国を守る」ために官僚に残された道は数字をイジるしかない。例えば、実際には今回の国葬の費用なのにそれをカウントせず、関連の出費にしてしまうなどの「改ざん」をしてしまうのだ。これまでの「前科」を踏まえれば、そこまで荒唐無稽な話ではない。