「我々は最後の世代だ」に共感する若者たち

「我々は最後の世代だ」。これは今年5月に中国全土にハッシュタグを付けられ爆発的に拡散されたフレーズだ。若者の間で深く共感され、流行語にもなった。

 このフレーズが生まれたきっかけは、一本の動画だった。上海のロックダウン中、自宅から政府の隔離施設に連れて行かれるのを拒んだ一家に対し、警察が「政府の命令に従わなければ罰せられる。その罰は、三世代にわたっておまえの一族に影響を及ぼすぞ」と脅した。それに対し、男性は「悪いが、我々は最後の世代だ」と返したのだ。この動画は広く拡散されたが、後に削除された。

 この男性の言葉は、多くの若者の心情を代弁したのだろう。SNSには下記のような書き込みが殺到した。

「なんと悲壮なのか!どれほど追い詰められて、ここまで絶望的になったのだろうか」
「大きな悲しみを感じた。生存権を放棄するまで、精一杯の抵抗だ!」
「もう何も怖いものはない。なぜなら、我々は最後の世代だから!」

 中国政府は近年、離婚の「冷却期間」を新設したり、冒頭の「人工妊娠中絶の抑制方針」など、さまざまな対策で何としても出生率を上げようとしている。しかし米ウィスコンシン大学マディソン校の研究者、易富賢氏は、「こういった対策の効果はあまり期待できない」との見解を示す。「若者にとっては希望も未来も見えない中で、子どもを産むのは酷である。まず周辺問題を解決してからだ」(易氏)。

「我々は最後の世代だ」――。この言葉は、今の時代を反映する言葉であり、今後もさまざまな場面や意味合いで広く使われていくだろう。中国の将来と経済の活力は、若者にかかっている。その若者に希望を与えることができるのか、国家のプレゼンスにとっては死活問題だ。