中国の若者の気持ちを代弁する「我々は最後の世代だ」とは?(写真はイメージです) Photo:PhotoAC中国の若者の気持ちを代弁する「我々は最後の世代だ」とは?(写真はイメージです) Photo:PhotoAC

かつて人口急増を抑制するために、「一人っ子政策」を実施していた中国。しかし急速な少子化は急速な高齢化をもたらし、「二人っ子政策」さらには「三人っ子政策」へと国の政策が変わってきた。中国の若者は人数も少なく貴重な存在……のはずが、待ち受けているのは高い失業率だ。大学を出ても仕事がない。さらにゼロコロナは、ゼロ結婚&ゼロ出生を生み出した。「我々は、最後の世代だ」が若者の流行語になる背景とは……。(日中福祉プランニング代表 王 青)

一人っ子政策をやめ、「三人っ子政策」でも少子化が止まらない

 8月16日、中国国家衛生健康委員会や国家発展改革委員会など、合計17の政府部門が全国に向けて「生育支援策の改善と実施に関する指導意見」(以下、指導意見)を共同で発表した。指導意見は合計20の項目からなり、結婚、出産、子育て、教育などの方針について、財政、税制、教育、住宅、雇用など多方面にわたって人々の生育支援策を充実させる指針である。特に「指導意見」の中に、「人工妊娠中絶の抑制」と「不妊治療の利用促進」などの項目が盛り込まれていることで、大きく注目された。

 中国政府は1979年以降、1組の夫婦に子どもは1人だけとする「一人っ子政策」を実施したが、2016年にはすべての夫婦が第2子を持つことを認める「二人っ子政策」を実施。さらに昨年からは3人目までの出産を認める「三人っ子政策」や「出生率を上げる政策の促進」などの政策を相次いで打ち出しているのだ。今回の指導意見はこの一環といえる。

 政府が発表した一連の統計データは、中国の少子化問題の深刻さを裏付けている。中国国家統計局が今年発表した最新のデータによると、2021年の出生率()は7.52‰で、2019年の10.41‰、2020年の8.52‰から右肩下がりだ。2021年に生まれた新生児は1062万人で、5年連続減少となった。

 1062万人という数がどれくらい少ないのか。36年間実施した「一人っ子政策」が撤廃された2016年の新生児の数は1867万人。この年に対して、2021年の新生児の数が4割も減ったのだ。

※出生率…人口1000人当たりの出生数の割合、‰(パーミル)で表示