行政による全国でも珍しい引きこもりの人たちのための「職親」体験発表会が1月22日、京都府庁で開かれた。
この事業を進めているのは、京都府青少年課の『「チーム絆」ひきこもり支援プラットフォームチーム』。今回の体験発表会は、同府青少年課が民間支援団体などと連携し、ワークショップ形式で集まった人たちの意見交換の中から、よりよい支援につなげて、生きづらさを抱える人たちを支援しようというのが狙いだ。
職親というのは、そもそも就職する際の保証人制度。京都府は、引きこもりの青年たちのための職親制度を2006年度に創設した。
本人が働きたいと思っても、直接、企業につながっていくことが難しい。そこで、児童虐待やDVなどの問題にワンストップで対応している「京都府家庭支援総合センター」が、引きこもり状態にある本人や家族からの相談を受ける「ひきこもり相談窓口(チーム絆)」を設置。行政やサポートしている団体を通じて、職親と調整しながら、働きたい人たちが社会に溶け込んでいくためのコミュニケーションの練習をしていく場を作ることが事業の流れだ。
職親企業は5年で114社に!
自立のための「お試し」就労体験
職親は、「社会的引きこもり」に対する理解が深く、就労体験の場を提供してもらえる企業が対象になる。
2006年当初、受け入れ先の企業は15社。対象者も、わずか1人だけだった。
それが、11年度末現在、114社が受け入れ先として手を挙げ、50人が制度を利用。職親企業も利用者も、ともに増えてきている。
実際、いざ働き始めようというときは、引きこもりの人に限らず、どんな人でもドキドキしておじけづくことは少なくない。
そこで、同制度では、1日だけの「お試し」体験も設定。「通常」は、1ヵ月間の体験コースになっている。2週間の「短期」体験も受け付けている。
仕事の内容は、作業から接客まで様々だ。その中から、本人に最も適した仕事を調整しながら体験してもらう。
ただ、研修であるため、給料は支払われない。交通費も自腹となる。あくまで、初めての就労のための場を提供する「お試し」という位置づけだ。
また、申し込んでもらっても、必ず希望の企業で体験できるというわけでもない。繁忙期などの企業側の業務の状況次第や、本人が合わないなどの理由から、他に調整される場合もあるという。