経路(1) アルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素が使われる経路

 経路(2) MEOS(ミクロゾーン・エタノール酸化酵素系)酵素群が使われる経路

 アセトアルデヒドの分解が遅い体質でお酒に弱い人でも、飲酒を続けるうちにMEOSの酵素が誘導され、アルコール代謝に使われるようになる。その結果、お酒に強くなっていく。

 しかし、MEOS代謝経路は薬なども含む異物を分解するためのものだ。したがって、MEOSが多く誘導されると薬の効果にも影響し、薬が効きにくくなったり、逆に効き過ぎたりすることがある。

◇二日酔いを防ぐかしこい飲み方

(久里浜医療センター院長・樋口進氏)

 お酒を飲む上で、二度と経験したくないのが二日酔いだろう。

 二日酔いを防ぐ大前提は、飲酒量を抑えることだ。加えて、お酒の種類によっても二日酔いの度合いが変わってくる。「色がついている酒」か「色がついていない酒」、「醸造酒」か「蒸留酒」によって、二日酔いのなりやすさは異なる。

 ウイスキーとジンを同じ度数で同量飲んだ場合でも、ウイスキーの方が二日酔いになりやすいという報告がある。これは、色がついたお酒の方が、酒に含まれる成分が多いことに起因する。お酒に含まれる水とアルコール以外の成分はコンジナー(不純物)と呼ばれ、これが酒の風味や個性を決めている。コンジナーを多く含むお酒の方が、一般的には二日酔いになりやすい。

 蒸留酒は醸造酒を蒸留して製造され、蒸留工程でコンジナーが大幅に減る。そのため蒸留酒の方が二日酔いになりにくい。

◆後悔する飲み方、しない飲み方
◇下痢になりやすいのはなぜ?

(神戸学院大学准教授・大平英夫氏)

 お酒を飲んだ次の日はお腹を壊すという人は少なくない。この原因には2つのパターンがある。

 1つ目が、アルコールの大量摂取により、水分とナトリウムなどの電解質の腸管への吸収が不足し、浸透圧性の下痢が起きるパターンである。