2つ目が、長期間にわたる過剰なアルコール摂取により、消化機能が低下して下痢が起こるパターンである。また、長期的なアルコール摂取によって膵臓機能の低下や消化液などの分泌量低減につながり、脂質やたんぱく質が分解・吸収できなくなることでも下痢になる。自覚症状としては、みぞおちが痛いなどがある。

 ただ、アルコールは胃腸などの消化管に対し、悪影響を与えるばかりではない。お酒は消化管の働きを活発にするなど、良い影響も与え得る。

 例えるならば、アルコールによって脳が「戦闘モード」や「癒しモード」に切り替わるイメージである。

 戦闘モードでは、やる気ホルモン「ドーパミン」が多く放出され、興奮・覚醒・意欲が高まり、消化管の活動は抑制されてしまう。一方、癒しモードに入ると、幸せホルモン「セロトニン」が多く放出され、気分が安定して消化管の活動が活発になり、食欲も増進される。

 このドーパミンとセロトニンは片方が放出されるのではなく、どちらも同時に放出される。その度合いによって影響の出方が異なる。例えば、お洒落なレストランで食前酒をたしなむような会食ではセロトニンが優位となりやすい。一方、居酒屋で盛大に飲むような時には、ドーパミンが優位になるといった具合だ。

◆結局、飲酒で太るのか?
◇「酒はエンプティカロリー説」は間違い

(ナビタスクリニック理事長・久住英二氏)

「お酒はエンプティ(ゼロ)カロリーだ」や「お酒を飲むだけなら太らない」といった言説がある。

 一般に、お酒に含まれる純アルコール(エタノール)は1グラム当たり7.1キロカロリーだが、このうち70%ほどは代謝で消費される。そのため、同じカロリーを脂質や糖質でとったときよりも、体重増加作用が少ないという説などだ。

 しかし、当該問題に詳しい久住氏はこの説を否定している。お酒はエンプティカロリーではなく、お酒に含まれるエタノールはエネルギー源である。

 ビール1缶(355ml)にはアルコールが14グラム、糖質が11~12グラム含まれ、エネルギーは150キロカロリー前後になる。これは、コンビニのおにぎり1個に相当し、飲酒はおにぎりを食べるのと同じ感覚だという。

「糖質ゼロ」とうたう酒もエンプティカロリーというわけではなく、アルコール由来のカロリーが含まれている。糖質の有無にかかわらず、酒は太ると思っておいた方がよいだろう。