DJが自分の手元でマイクのオンオフの切り替えをするためのスイッチ、「カフ」。英語では[cough button]。つまり、DJがcough、咳をする時に、オンエアに乗らないように一時的にオフするためのものDJが自分の手元でマイクのオンオフの切り替えをするためのスイッチ、「カフ」。英語では[cough button]。つまり、DJがcough、咳をする時に、オンエアに乗らないように一時的にオフするためのもの(写真:著者提供)

「秀島さんなら、どうしますか?」

「アドバイスがあれば、お願いします!」

 と、お悩みメールの最後には、たいていこんな言葉があります。だからといって、すぐアドバイスに走りません。

<私なら、○○するかな>
<○○するのがオススメ!>

 と前のめりになるのではなく、まずは、

<たしかに不安になりますよね>
<それは悩ましいですね>
<それはつらい気持ちになりますよね>

 と、しっかり言葉で受け止める。何かアドバイスができそうだと思っても、一緒に解決法を考えるにしても、あなたの話を理解しましたというサインを出して、安心してもらってから。

 相手はただでさえ弱っているのですから、たとえ「あなたにもよくないところがあったんじゃない?」と感じたとしても、いきなりズバリ指摘することが必ずしも正解ではありません。よかれと思ってパッと頭に浮かんだ解決策を伝えたところで、相手は「それはわかっているけれど」と心を閉ざしてしまうことも。

 まずはしっかりと話を「聞ききる」。これだけで十分喜んでもらえることもあります。

 そして二つ目のポイント。相手の話を聞きながら、考えの交通整理を手伝ってあげると、何に悩んでいるのか、問題点も見えて、本人の気持ちもスッキリしてきます。

 一人で悩んでいると、どうしても感情や考えがごちゃまぜになって、話が堂々巡りになってしまいがち。そんなときは、相談者の話を「うんうん」「そうなんだね」と邪魔せず聞きながら、

<なるほど、心ない批判を受けて嫌だなって感じたんだ。たしかにしんどいね>
<そうか、今の仕事が合わないって思っている理由は、ひとつじゃないんだね>

 と、相手が話した内容を確認していくと、お互いの頭の中がクリアになっていきます。

 そうはいっても、無理やりまとめようとはしない。「要は」「つまり」とくくってしまうのは、「一言でまとめられても……」と相手に不満が残ります。