また「ほんと、やんなっちゃうよね~」など、“とりあえず”なフレーズで返すのも、「話をちゃんと聞いてくれていたのかな」と不安にさせてしまいます。

 強引にポジティブに持っていく必要はもちろんありません。でも、そもそも相手は悩みを一人で抱えきれずにあなたに話しているわけですから、さらに不安にさせないようにしたいもの。

 私が誰かに悩み相談する状況を思い浮かべてみると、思考がこんがらがって動けなくなっている今の状態から抜け出したい、という気持ちが一番大きいように思います。誰かに話を聞いてもらうことによって気持ちが軽くなって、広い視点で状況を見られるようになったりして。

 きっと悩みを寄せてくれるリスナーも、“自分で”先に進んでいくために、ひとときの伴走者にDJを選んでくれているのでは、と思います。

なぜか聴きたくなる人の話し方『なぜか聴きたくなる人の話し方』
秀島史香
定価1540円
(朝日新聞出版)

「よし、一発解決して進ぜよう!」と張り切るのではなく、まずは「聞ききる」。相談を受けたら、自分が相手にできることを確実に。

 相談者さんが「少し気持ちが軽くなった」「頭の中が整理された」と感じてくれたら大合格点とします。直接の解決につながらなくても、あなたがしっかり聞くことで「私には相談できる人がいる」と相手も心穏やかになるもの。

 悩める人を支える方法は、こんなにもやさしく「聞ききる」ことでもあるんだなと、スーさんの相談を聞きながら思います。

【ここまで聴いてくれたあなたへ】
相談を受けたらしっかり「聞ききる」。
それだけで、相手を支える力になる。

(構成/小川由希子)

秀島史香

秀島史香(ひでしま・ふみか)
ラジオDJ、ナレーター。1975年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。慶應義塾大学在学中にラジオDJデビュー。映画、テレビ、CM、美術館音声ガイドなど多岐にわたり活動している。現在FMヨコハマ『SHONAN by the Sea』、NHKラジオ『ニュースで学ぶ「現代英語」』、NHK Eテレ『高校講座 現代の国語』などに出演中。著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』『なぜか聴きたくなる人の話し方』(共に朝日新聞出版)。ハスキーで都会的な声質、あたたかい人柄とフリートークが、クリエイターからリスナーまで幅広く人気。

AERA dot.より転載