とはいえ、いくら科学的に脳の構造を変えられることがわかっても、「休日はごろごろする」という文化を築いてきた人が、科学的根拠だけで行動を変えられるわけではない。

 それでも、遺伝子研究の分野では、長年培われた文化も自ら覆すことができると考えられている。

 遺伝子や文化に従うだけではなく、自分は意志を持って行動できるととらえ直すことが、脳に通じる命令を作る大きな一歩だ。「自分は変えられる」「めんどくさいことが消えたら、どんなに楽しいだろう」と思いを巡らせ、脳に通じる命令を使う決心をしよう。

【必読ポイント!】
◆いきなりテキパキ行動できる7つのコツ
◇朝イチのメールチェックはやめて、最もやりたい作業をしよう

 めんどくさがりを自称している人は、めんどくさいの正体がわかったところで、なかなか重い腰が上がらないものだろう。ちょっとずつできるようになるより、最初からテキパキ行動できるようになりたい、と思うのは当然だ。ここからは、「本当だ、めんどくさくなくなる」が実感できる7つのコツを紹介したい。

 最初のコツは、「夕方の体温を上げる」ことだ。体の内部の温度である深部体温が高いほど、体のパフォーマンスは高くなる。深部体温は起床時間の11時間後に最高に達するが、このとき椅子に座りっぱなしで動かなければ深部体温は上がらない。最高体温時の深部体温が低ければ、夜になっても眠くならず、眠っても疲れがとれず、朝起きても元気がないというリズムができあがってしまう。深部体温は体を動かしたり、お風呂に入ったり、温かい食事をとったりするだけで上げることができる。

 2つ目は「その日一番やりたいことを最初にやる」だ。私たちの脳は、目覚めてすぐが一番行動力が高く、夜眠る前が一番めんどくさいと感じるリズムを持つ。企業の業務改善では、朝イチのメールチェックをやめることが最もインパクトが大きいといわれている。最も判断力に優れた時間帯をメールチェックに費やしてしまうのはもったいない。緊急の連絡があるかもしれないと思う人もいるかもしれないが、実際に試した人からは一様に「別に困らなかった。たしかにはかどる」という反応が返ってくる。出勤したら即メールチェックというパターンはやめて、その日最もやりたい作業に取り組もう。