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スマートフォンの理想と現実

昨年とは大きく違う「成熟と停滞」のCES2013
何かが大きく変わる直前の“嵐の前の静けさ”か
――ラスベガスCES会場から占う2013年【後編】

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第42回】 2013年1月25日
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 前回に引き続き、今月初旬に米国ラスベガスで開催された、世界最大級のデジタル関連の展示会International CES(以下CES)の様子をご報告する。前回はテレビメーカーの状況を中心にお伝えしたが、今回は本連載の看板通り、スマートフォンの動向などを取り上げる。

中国勢は停滞しているのか

 昨年、2012年のCESで目立ったのは、中国勢の躍進である。高度な技術競争を仕掛け、プレミアムブランドとなった日韓勢をキャッチアップするような動きが、あちこちで見られた。これは、ケータイ分野の世界最大の展示会である、モバイルワールドコングレス(以下MWC)も同様である。

中国の通信機器大手・ファーウェイ(huawai)は新製品を発表したが…拡大画像表示

 しかし今年は率直に言って、あまり勢いを感じられなかった。白物家電大手のハイアールなども、趣向を凝らした展示をしてはいたものの、会期中に何度か同じ時間帯にブースを眺めてみた限り、集客は日本メーカーと比較して少々劣る感が否めなかった。

 スマートフォン分野にしても同様である。ファーウェイ(huawai)やZTEは大きなブースを立てていたし、新製品も発表した。しかし彼らも目立っていたかといえば、むしろ今年のCES全体の中では控えめという印象で、総じて「昨年とは何かが違う」と感じさせるものだった。

中国の通信機器大手・ZTEのブース Photo by Tatsuya Kurosaka 拡大画像表示

 これにはいくつかの理由が複合しているように思う。一つは米国経済の好調によって、展示の中心が高付加価値商品に寄っていたこと。特にこれはテレビ受像器の分野で鮮明で、こうした製品への対応は、さすがの中国勢でも日韓にはまだ及ばない(あるいは及んでいるような印象を受けない)というのが現状なのだろう。

 また、米国社会の中国勢に対する警戒感も、背景としてはあるのかもしれない。特に通信分野では、国家安全保障の観点から、中国ベンダーの製品導入に課題アリとの見解が、米国議会から昨年示された。今年のCESはこれが大きくクローズアップされた直後であることを考えれば、何らかの影響を受けたことは否定できない。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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