安倍元首相の国葬の様子に、
中国の人たちの感想は……

 これらの動画には、視聴した人たちからおびただしい数のコメントが寄せられた。コメントは国葬の賛成派と反対派に二分されるが、それぞれ秩序を保って、衝突なしで平和に進行していたこと、そして、警察官が参加者に協力的な姿勢であることについての感想を述べている。

 2本目の動画で王志安氏は、安倍元首相の国葬に反対する日本人がなぜ多いのかについてくわしく説明している。山上徹也容疑者の生い立ちや、彼に対して同情する人が多いこと、安倍元首相を始めとする自民党議員と旧統一教会との接点、英国エリザベス女王の葬儀を上回る予算で多額の税金を使っていること、日本のメディアが政界と旧統一教会の関係について報道することについて及び腰であることまで、実に事細かに国葬反対派が多い背景を解説している。

 しかし中国の人々の興味はそこにはなく、「健康な社会にはいろいろな声がある」と、平和なデモや警察官の様子にばかりコメントが集中してしまうのだ。

「安倍元首相は、日本という国のために尽力したと思うが、すべての人に支持されるとは限らないのだ。それでも国葬にめぐって賛成の声も反対の声も上げることができる。それこそ、正常な国の姿ではないか。本当にうらやましい!」

「以前旅行で日本に行ったことがあるが、今日、動画を見て、新しい日本を発見した気がした。警察官がデモ隊のために道を空けてくれたシーンを見て涙が出た……これこそ人権が尊重されている国だ。感動した!そして、日本への憧れがさらに大きくなった」

「一つの葬儀が、見事に文明、自由、自信とは何か、民主主義、成熟社会とは何かをすべて解釈してくれた。我々は、正真正銘の民主自由の国を見ることができた!王さん、ありがとう!」

「動画を見て思ったのだが、国葬に反対する人たちは、恐らく反対しても結果が変わらないことを十分承知していると思う。それでも声を上げた。そういう権利を使いたかったのだ」

 また、「警察は多かったようだが、今さら意味がない。なぜなら、安倍元首相が銃殺された時に警察はボーッとしていたではないか」「全員マスクしているのね!エリザベス女王の葬儀の時はマスクなしだった」などのコメントも散見された。