会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変#5Photo:PIXTA

上場会社監査事務所登録制度の情報を基に、監査法人の「非監査証明業務」の売上高を集計。増収率を算出し、ランキングを作成した。コンサルティングやアドバイザリー業務など、非監査証明業務は監査証明業務よりも効率的にもうけられるといわれる。特集『会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変』(全19回)の#5では、“脱監査”の道を行く監査法人をあぶり出した。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

本業の「監査」に強まる負荷
非監査に傾注する監査法人は?

 監査法人と公認会計士にとっての本業は、監査証明業務だ。とりわけ上場企業の監査は、健全な資本市場の発展のために会計知識を生かせる、誉れ高い仕事だろう。

 ところが今、その本業の負担が増している。

 最大の理由は、監査の厳格化だ。2005年のカネボウや11年のオリンパス、15年の東芝と、大企業の不正会計事件が相次いだことが背景にある。

 監査工数は年々増え続けており、それに忠実に従って監査を実施しなければ、日本公認会計士協会や公認会計士・監査審査会の検査対象となる。

 もし不正会計を見逃せば、厳しい行政処分が下され、監査法人の存続が危ぶまれる事態に追い込まれる。そのため現場の会計士が受けるプレッシャーの大きさは、数年前と比べ物にならないという。

 そもそも監査は「企業から煙たがられることはあっても、感謝されることはほとんどない」(中堅監査法人の会計士)仕事である。監査の厳格化は、そうした監査の特徴をいっそう際立たせ、若手会計士の“監査離れ”が加速しているという。

 そんな中で注目が集まるのが、会計の専門知識を生かしたコンサルティングやアドバイザリー業務。いわゆる「非監査証明業務」だ。

 非監査は、折からの監査の厳格化とは無縁であり、利益率も高い。会計士にとっても、企業から喜ばれるとあってやりがいのある仕事だ。

 監査法人の経営を考える上でも非監査は欠かせない。3月期決算の上場企業が多いため、監査は4~6月に業務が集中する。「季節労働」といわれるゆえんだが、非監査は閑散期を埋める業務でもあるのだ。

 監査の本業から離れ、「脱監査」の道を行く監査法人・監査事務所はいったいどこか――。ダイヤモンド編集部は、「上場会社監査事務所名簿」に登録されている監査法人・監査事務所の「非監査証明業務」の売上高増収率を集計し、ランキングを作成した。

 次ページには、ランキングとその作成方法を掲載している。注目したいのは、行政処分が間近の監査法人もトップ5に入っていることだ。