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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

調査データから見えた、日本の寄付市場の実態。
日本に「寄付は社会的投資」という文化は根づくのか?

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第82回】 2013年1月29日
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日本ファンドレイジング協会による『寄付白書2012』が経団連出版より発行された。2011年における日本の寄付市場、寄付事情について綿密な調査とデータ分析により明らかにしている。今回は同白書のデータから、日本の寄付文化について考えてみる。

8500万人から6000億円。
2011年は日本の寄付元年

 2011年と言えば、例の東日本大震災が起きた年であり、膨大な額の寄付が集められたことも記憶に新しい。と同時に、どのような寄付がもっとも有効なのか? ということを、多くの日本人が考えるようになった。とりあえず有名どころの団体に寄付しておけばいいというのが、これまでの日本人の大多数の寄付行動だったと思うが、震災を機に、被災地ではどのような支援を必要としていて、そのために最も有効な寄付金の使い方をしてくれる団体はどこなのかを考えて寄付するようになった。これは寄付文化の進化という意味では画期的なことで、僕が「2011年は日本の寄付元年」と呼ぶ理由である。

 「寄付白書2012」は「震災寄付、永久保存版」と銘打っているとおり、今回の震災における寄付とボランティアについて詳細な調査を行なっている。金銭または物資による寄付を行った人は約8512万人。個人と法人から義援金と支援金を合わせて約6000億円の寄付が寄せられた。うち、個人寄付は約5000億円である。被災地でボランティア活動を行った人は延べ約102万人である。

 同白書2011年版によれば、2010年の日本の個人寄付総額は約4874億円、法人寄付を合わせると約1兆円なので、これと比べても約6000億円という数字はやはり大きい。ただし、2011年8月19日時点での震災寄付や約3899億円なので(同白書)、9月以降12月までの寄付は約2000億円程度となる。震災支援関係者の間では、同年秋以降、寄付が急速に止まったと言われていたが、実際にはそれほど落ち込んでいなかったことが分かる。

 さて、震災寄付に関連して注目すべきは、これほど巨額の震災寄付が、寄付市場全体にどのような影響を与えたかである。つまり、震災寄付によって、通常の寄付が減ったのか、減らなかったのかということだ。

 結論は、2011年の震災寄付を除く個人寄付金額は約5182億円。前述の通り、2010年の個人寄付総額が約4874億円なので、震災による巨額の寄付が行われたにもかかわらず、通常の寄付も(若干ではあるが)増えていることになる。つまり、寄付市場全体で見ると、震災寄付の分だけ大きく増えたということになる。

日本の社会貢献寄付の実態は?

 この「震災以外の寄付」の内訳だが、「宗教関連=1680億円(32.4%)」がトップだ。これは、お布施や謝金は含まず、宗教団体、寺院・神社、祭礼への寄付とお賽銭の額である。ついで「日本赤十字社=958億円(18.5%)」、「政治献金=426億円(8.2%)」、「教育・研究=373億円(7.2%)」、「国際協力=354億円(6.8%)」となっている。教育・研究への寄付は、PTAや同窓会への寄付、入学時の寄付も含まれている。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

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