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岸博幸のクリエイティブ国富論

アベノミクスを失敗に導く
“民間軽視の成長戦略”という本末転倒

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第215回】 2013年2月1日
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 安倍政権が金融緩和、財政出動に次ぐ“アベノミクス”の3本目の矢である成長戦略の検討を始めました。その内容がどうなるかによって、日本経済が短期を超えて中長期的にも復活できるかが決まると言っても過言ではありません。しかし、政府はどうも経済成長の主体であるはずの民間の意向を無視して成長戦略を作りたいようです。

“攻めの農業”に規制改革はNG?
官僚主導での規制改革重点分野の設定

 安倍政権で成長戦略を検討する場としては、日本経済再生本部、産業競争力会議、規制改革会議の3つがあります。民間委員が参加して議論する産業競争力会議と規制改革会議の議論をふまえ、全閣僚が参加する日本経済再生本部で最終的にまとめられるという構造です。

 先週はこれらの会議が立て続けに開催されました。時系列的には、

 1月23日(水)第1回産業競争力会議
 1月24日(木)第1回規制改革会議
 1月25日(金)第3回日本経済再生本部

 という順番で開催されています。そして、これら3つの場での議論を丹念にフォローすると、明確な傾向が見て取れます。それは、民間側を代表して2つの会議に入っている民間委員の意見を軽視した運営です。

 その非常に分かりやすい例が規制改革です。成長戦略でもっとも重要なのは規制改革であり、第1回産業競争力会議の議事要旨を見ても、多くの委員がその点について言及しています。ただ、会議自体が1時間と短かったせいか、規制改革についての委員の発言も総論的なものが多く、規制改革の対象分野について踏み込んだ議論が行われた形跡はありません。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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