コスパが良い駅だけでなく
「危ない駅」も押さえるべし

 コスパが良かったのは、先ほども上位に入った大久保をはじめ、新中野(東京メトロ丸ノ内線)、笹塚(京王線)、野方、新井薬師前(ともに西武新宿線)、落合南長崎(都営地下鉄大江戸線)、中野富士見町(東京メトロ丸ノ内線)といった駅になる。

 ただし、いくら物件を入手しやすくても、「含み損」(物件を売却した際に損をすること)を抱えるのは避けたい。

 この観点から、含み益を得る確率が50%を割り込んでいる「危ない駅」を探すと、上北沢(京王線)、井荻、上井草、上石神井、武蔵関(いずれも西武新宿線)となる。これらの駅ではマンションを購入したら、売れなくなる可能性があるので気を付けた方がいい。

 さてここからは、世帯年収を細かく区切って、物件に手が届きやすくて含み益を得やすい「お買い得」なエリアを紹介していきたい。

 まず、年収600万円台なら光が丘(都営地下鉄大江戸線)、700万円台なら野方、練馬(都営地下鉄大江戸線)が相対的にいい。だが、含み益を得る確率は50%台だ。

 800万円台なら、大久保、笹塚、新中野が70%を超えている。物件が安い大久保は今回の記事で繰り返し登場しているが、外国人が多く暮らしている土地柄、日本人が持ち家を購入しても街の雰囲気になじめない可能性もゼロではない。物件選択は注意が必要だ。

 年収900万円台なら、トップ3は東中野(JR総武線、都営地下鉄大江戸線)、中野(JR総武線、JR中央線)、中野坂上(都営地下鉄大江戸線、東京メトロ丸ノ内線)で、いずれも70%前後と確率がいい。

 東中野と中野坂上は、大江戸線の開通によって2路線乗り入れのターミナル駅になったことが大きい。夫婦共働きが一般化した現在、2路線を使えると夫婦それぞれの勤務地への通勤利便性が格段に上がるため、人気が出ている。

 年収を1200万円以下に広げると確率は80%を超え、先ほども挙げた初台、参宮橋、西新宿がトップ3となる。西新宿は、1996年に開業した比較的新しい駅だ。この駅ができたことが、北新宿にかけてのエリアが再開発される端緒になり、街並みは一変した。

 年収1200万円を超えると、繰り返しになるが、代々木八幡、代々木上原が突出して確率が良い。逆に資産性の面でさえないのは成城学園前と世田谷代田だ。このうち、成城学園前の物件が含み益を得られる確率は55%しかない。

 これはJR山手線から離れた高級住宅地の宿命で、マンションのようなアクセス重視の住まいは、通勤時間のかかる場所では敬遠されがちになるからだ。