筆者が運営する、マンション購入者向けの無料会員制サイト「住まいサーフィン」(会員数28万人)では、さまざまな駅の周辺にある新築マンションが含み益を生み出す確率を算出・掲載している。算出には、過去の供給物件のデータを使用している。

 分析対象とする駅周辺にある100物件のうち60物件が含み益を出していれば、含み益を生み出す確率は60%となり、これが高い方がお得な駅・路線ということになる。

 今回の記事では、冒頭の通り「新宿駅にアクセスしやすいベッドタウンであり、含み益を生み出す確率が高い駅・路線」を紹介していきたい。

 確率の算出に当たっては、前提条件を同じにする必要があるので、東京23区内の駅だけを対象とした。ただし、ベッドタウンという定義から外れるので、都心を通るJR山手線は除いた。

 また、試算においては、相場変動がない想定になるよう補正を行った。最近はマンション価格が高騰しているが、「どこでももうかる」という結果が出るようにはなっていない。

丸ノ内線、JR総武線・中央線
そして小田急線が「狙い目」

 まずは路線単位で見ていこう。結果は、3路線が同率のトップで並ぶ。東京メトロ丸の内線、JR総武線・中央線、小田急小田原線が66.9%で、3物件のうち2物件はもうかっている計算になる。

 次に駅単位で見ていくと、この確率が80%を超える駅は6つある。高い順に、代々木上原、代々木八幡(ともに小田急小田原線)、初台(京王新線)、参宮橋(小田急小田原線)、西新宿(東京メトロ丸ノ内線)、大久保(JR総武線)の順になる。

 どの駅も、新宿駅もしくはJR山手線に近いことが共通している。この辺りで物件を買えば、資産性に関してはあまり心配ないといえる。

 しかし、資産価値が下がりにくい駅周辺の物件は、価格自体が高い。そのため、高年収者しか手が届かないのが現実だ。

 前述した代々木八幡、代々木上原に加え、東北沢、世田谷代田、成城学園前(いずれも小田急小田原線)、西新宿五丁目(都営地下鉄大江戸線)といった駅は、物件の価格から推定される購入者の年収が1200万円を超えている。

 平均年収1200万円ということは、マンション価格がほぼ平均1億円になる計算だ。住民の平均年収が高い駅は、物件を購入する際に多額の資金が必要になるので、こぞってコストパフォーマンスが悪くなる(特に成城学園前はコスパが悪いが、その理由は後述する)。

 そこで次は、含み益を生み出す確率を平均年収で割って、コスパを見ることにする。