冬場に起きやすい「隠れしもやけ」に要注意!“痛がゆさ”軽減と予防策とは「綿の手袋は、裏返して装着しましょう。縫い目を外側にすれば、クリームをつけた手でも引っかからずにスルッと入ります。綿の手袋は100円ショップなどで購入できるので、ぜひ試してみてください」(野村氏) 撮影:清談社

 また、感染症予防のために行う手洗いや手指消毒も、しもやけの原因になる。冷たい水やアルコール消毒液が手を冷やし、肌の水分も蒸発しやすくなるという。

「手を洗ったあとは、水分を残さないようにしっかり拭いてください。手指消毒は、お店や室内に入るときだけでなく、買い物を終えてからも行うと、感染症の予防につながります。そして、手指消毒が終わったら、濡れている手を清潔やハンカチやタオルで拭いて、その後すぐにハンドクリームを塗ると、感染症としもやけの対策を両立できます」

 水も消毒液も、“濡れたまま”にしておくのはNG。冬場は吸水性の高いハンドタオルとハンドクリームを併用して、しもやけと手荒れ防止に努めよう。

「日常生活においては“寒暖差”をなるべく小さく抑えると、しもやけの改善に役立ちます。たとえば、入浴する際は、すぐに湯船に浸からず、まず人肌程度のぬるま湯(シャワー)でかけ湯をしてください。同様に、食器洗いなどの水仕事も36度前後のぬるま湯で行いましょう。そうして温度変化を最小限に抑えることで血管にかかる負担が軽減され、しもやけを防ぎます」

 とくに急激な寒暖差にさらされる冬は、自らその差を小さくする工夫が必要なのだ。

 そして野村氏は最後に「ビジネスパーソンにこそ、しもやけ対策をしてほしい」とアドバイスを送る。

「コロナ禍前ほどではありませんが、対面で人に会う機会が増えています。名刺を渡す際に、指がしもやけで腫れていたり、肌がガサガサしていたりする手には、あまりいい印象を抱かないですよね。反対に、手がキレイな人は相手に好印象を与えます。手のケアは大人の身だしなみのひとつと捉えて、ぜひ力を入れてみてください」

「たかがしもやけ」と侮らず、この機会に本気でハンドケアに取り組むと、さまざまなメリットが得られるかもしれない。

冬場に起きやすい「隠れしもやけ」に要注意!“痛がゆさ”軽減と予防策とは
野村有子氏
野村皮膚科医院院長・医学博士、日本皮膚科学会認定専門医。1986年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部皮膚科教室に入局の後、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務などを経て、98年に野村皮膚科医院を開業。あらゆる皮膚疾患について丁寧な説明を心がけ、治療からスキンケアに至るまで、きめ細やかな指導を行う。