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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国共産党幹部の精神・思想を知るのに重要な
「下放」体験と「海外留学先」

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第141回】 2013年2月7日
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 しばらく前に、「中国の新リーダー・習近平氏を判断するのに欠かせない3つの要素」と題するコラムを書いた。

 私は、習氏を判断する3つの要素の中の一つとして、その農村「下放」時代を取り上げた。日本では「太子党」や派閥関係ばかりに目を向け、習氏を議論する評論が多いが、はっきりした根拠らしい根拠を持たないそんな推測、憶測よりも、むしろ若い頃の農村「下放」体験など実際に立証できる材料に基づいて分析したほうが、もう少し正解に近いのでは、と私は思う。それが、上記のコラムを書いた動機だ。

「下放」経歴に関心を示した記事

 ここ数日、講演のため、佐賀県に来ている。昨日、佐賀市での講演を済ませた私は、午後、武雄市に移り、地元の温泉ホテルに泊まり、次の講演に備えた。夜、何気なくインターネットにアクセスして、最新の情報をチェックしたら、「指導の第一線に立つ習近平総書記ら中国「下放」世代―その浮き沈み体験を硬軟どのように活かす―」というコラム記事に目を惹かれた。書き手は読売新聞社の北京支局長を務めたことのある丹藤佳紀氏である。

 まず、この記事の面白いところは、やはり若き習氏が陝西省の農村に住んで農民と共に働いた「下放」経歴に関心を示したことだ。丹藤氏の目の付けどころは、私の上述したコラムの狙ったところと同じだと思う。しかし、習氏の生年1953年とその下放の2つをキーワードにして、今や各分野の第一線に立つ人を調べたところに、丹藤氏のユニークさは潜んでいる。

 そして、丹藤氏は、「この人々に共通するのは、一〇代で下放され、農村で苛酷な体験を重ねたこと、二〇代後半に経済改革・対外開放の“洗礼”を受け、各分野の中堅幹部時代に至って今日につながる高度成長に出会ったことである」とまとめ、さらにその「続々浮かび上がってくる」「今や各分野の第一線に立つ人」を検証して、習氏の思考経路、行動パターンを見ようとしているのだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


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地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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