パトカーの赤色灯写真はイメージです Photo:PIXTA

警視庁捜査2課は暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉毀損(きそん)、威力業務妨害、強要の疑いで政治家女子48党(旧NHK党)の前参院議員、ガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)=参院を除名=の逮捕状を取った。今後は警察庁を通じて外務省に旅券返納命令を出すよう要請し、国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配する方針。昨年7月の当選後、国会を引っかき回すだけ引っかき回し一度も登院しなかったガーシー容疑者。いよいよ逮捕は秒読みに入った。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

外務省の旅券返納命令に
応じなければ国際手配

 逮捕容疑は昨年2月~8月、ユーチューブの動画で俳優の綾野剛さん、ドワンゴ創業者の川上量生さん、ジュエリーデザイナーの福谷公男さんを常習的に脅迫したほか、名誉を毀損したり、事業を妨害したりした疑い。捜査2課は動画編集に関わったとして、会社経営者の男(40)の逮捕状も取った。

 捜査2課は再三にわたり任意での聴取を要請していたが、ガーシー容疑者が帰国せず応じる姿勢もなかった上、告訴した3人を脅すような動画配信を続けたため、逮捕が必要と判断したもようだ。

 ガーシー容疑者はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在しているとみられる。逮捕状が請求されたことを受け、ネット動画で「これで一生帰国しないことを覚悟できました。日本には帰らない」と主張したが、外務省が旅券返納命令を出し、応じなければパスポートを無効とすることで「不法滞在」の状態となる。

 ガーシー容疑者が「帰国したくない」とごねても認められるわけがなく、本人も言うように「一般人となった」人物を滞在先の政府がかくまう理由はまったくない。強制送還された後に逮捕状が執行される流れは不可避となったわけだ。

 ガーシー容疑者がこれまで帰国しなかった理由に、捜査2課の捜査が怖いことなどを挙げていたが、結果的には陳謝の懲罰に応じなかったため参院議員としての身分を失うことになり、不逮捕特権を手放して墓穴を掘った格好だ。