北川氏 我々の店舗でいうと、現在は年間売上高が8000万から2億円が一つの勝ちパターンで、この範囲がビジネスの“スイートスポット”になっています。これより売上げ規模が小さいとなかなか利益が出ないし、売上げ規模が大きい店は大きなスペースが必要で数が増やせない。

 しかし、このスイートスポットが広がれば、成長の余地も広がるはずです。そこで、大型店についてはドライブスルー併設店を増やしています。店内の売上げは客席数によって制限されますが、ドライブスルーはクルマで遠くからも来店していただけるし、客席数に左右されません。ドライブスルー専用のサービスやオペレーションに磨きをかければ、もっとお客さまのニーズに応えられるはずだと考えています。

 小規模店については、典型的なのが東京のビジネス街の店舗なのですが、面積が小さいうえに土日は客席稼働率が落ちるので売上げも小さい。そこで参考にしたのがニューヨークで、マンハッタンだけで250店舗もあるのにうまくいっている。客数は日本のビジネス街よりも多いのに、客席は10席に満たないというような店舗もあります。

 よく研究してみると、ビジネス街の店舗はコーヒーだけ買ってすぐにオフィスに向かう客がほとんどなので、サービスのスピードをいかに速くするかにフォーカスしたオペレーションを行っている。同じマンハッタンでも高級住宅街にある店舗は、店の作りもオペレーションもまったく違います。

 日本でもそのようにマーケットに合わせていけば、小型店舗でもやっていけるのではないかということで、東京駅の近くのオフィスビルにある店舗で実験を始めたのですが、これが非常にうまくいっています。

 今はこのように「Beyond 1000 stores」へ向けた基盤づくりが、私の大きな役割となっています。

日置氏 CFOというポジションでは、ディフェンス部門を指揮するだけではだめで、どんどん外に出て戦略面でビジネスを主導することも重要な役割になりますね。最後に、ファイナンスパーソンに求められる資質、あるいはスキルをどうお考えになりますか。

北川氏 あらゆる企業のファイナンス部門で働く人は、数学的資質、特に確率と統計分野の知識と直感的能力を高める努力をすべきだと思います。 

 一般の人には単に平面的な羅列にしか見えない「数字」でも、それぞれが強弱を持って立体的に見えることがファイナンス部門の人には必要だと思います。

 ガリレオは「宇宙という書物は数学という言語で書かれている」と言ったそうですが、同じように事業についても数学で語れるのではないでしょうか。

 その上で、社内のマネジメント層や各事業部門にうまくコミュニケートして会社全体のファイナンシャル・リテラシーを高める、提唱者・教育者としての役割もファイナンス部門で働くリーダーには不可欠です。

 その面で私がいつも目標としている人物が、IPMU(カブリ数物連携宇宙研究機構)のトップの村山斉さんです。あれだけ難解な宇宙や素粒子の話を、相手の理解度に合わせて判り易く、しかも知的興味を一層膨らませるように説明されるのを講演会やイベントで拝見すると、自分でももっと努力しなければとの思いが高まります。