青島伸治・管理本部業務執行役員ファイナンスディレクター(右)は「インサイトを得ることが、ファイナンスを担う者としてもっとも重要な任務」と話す Photo by Kazutoshi Sumitomo

マイクロソフトでソフトウェアヴォリュームライセンスビジネスのファイナンス部門を統括する青島伸治・管理本部業務執行役員ファイナンスディレクターに、マイクロソフトのファイナンスパーソンとしての仕事ぶりを伺った。社内数字の扱い方や仕事をするうえで必要な情報の取り方、ファイナンス部門と事業部門との関係性、組織を強くする方法など、話題は多岐にわたった。(構成・編集/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

あおしま・のぶはる
神戸大学大学院 経営学研究科卒。Procter & Gamble日本法人を経て、日本マイクロソフト株式会社
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見られる数字は全社統一
グローバル時代の常識

日置氏 日本企業では、業績に関する数字が一元的に管理されておらず、社内でバラバラに存在しているため、本社と事業部、子会社といった組織間、またはその中の役職によっても見ている数字が統一されていないケースが多いと思います。もちろん、トップマネジメントへの報告のために、さまざまに数字の変換作業を行ない、上辺だけの統一フォーマットを仕立て上げるわけですが、いざ会議で業績報告が始まると、「この数字はいったいどうやって算出したんだ」という数字の作られ方の説明が始まってしまって、なかなかこれからどうしていくのかというディスカッションに至りません。

ひおき・けいすけ
トーマツグループCFOプログラム、デロイト トーマツ コンサルティング・シニアマネジャー。日本CFO協会主任研究員。早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師 
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 経理部門の仕事は、その数字を計算してレポートをまとめる事と、会議で報告し、説明する事が大半になってしまっている印象ですが、マイクロソフトのファイナンス部門は、まったくそういった仕事の仕方をしないと聞いています。青島さんの部隊には、どのようなミッションが課され、実際どのように仕事をされているのでしょうか。

青島氏 まず、マイクロソフトでは世界で統一されたフォーマットがあり、それ以外のレポートは作るなと言われます。ローカル市場特有のまとめ方や独自の指標、分析を提示しても、有効に活用できない事が多いからです。マイクロソフトは世界中で商品は同じです。それぞれの国を横並びに比較して分析するには、皆が同じ土俵に立って、数字を見ていくという意識が徹底されています。必要に応じて作る場合も、後々グローバルで展開できるものかどうかを意識しています。