異動や入社で迎える新メンバーを戦力化する、オンボーディングの重要性新メンバーの受け入れや戦力化、リテンション向上のために「オンボーディング」が果たす役割とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

間もなく異動や入社の季節。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏は「新メンバーが戦力化するまでが真の採用」と語る。新メンバーの受け入れや戦力化、リテンション向上のために「オンボーディング」が果たす役割について、及川氏が解説する。

迎え入れた新メンバーを
戦力化するための「オンボーディング」

 多くの企業で新年度を迎える4月は、人の異動が多い季節です。年度の切り替わりのタイミングということもあって、この時期に合わせて転職する人も多いのではないでしょうか。

 入社や異動では、すでにたくさんの人がいる組織の中に新しい人が加わることがほとんどです。これがなかなかうまくいかないことも多いのですが、なぜでしょうか。私は理由の1つに、事業部門など現場の組織が採用に主体的に関わっていないことがあるのではないかと思います。

 従来の日本企業では、良くも悪くも人事部門の力が強い。極論すれば、事業部門は採用に一切関わらず、人事部門が探してきたある一定のスペックの人が、ある日ポンと現場にやってくるような感じになります。

 しかし外資系企業では(私が見てきた範囲では)、経営陣の人材配置計画によってヘッドカウント(人数・予算)が決まると、その条件下でいかにパフォーマンスを上げるかは事業部門のマネジャーに一任されます。採用に関する責任は事業部の側にあり、事業部が主役。人事部門はそれを手伝うだけです。

 最近よく聞く「オンボーディング」は、こうした事業部などの現場で新メンバーを迎え入れ、戦力化するための仕掛けです。「オンボード」という言葉のもともとの意味は、船や飛行機に乗り込むこと。転じて、現在は「新メンバーを戦力とするためのプロセス」という意味で使われています。

 ちなみに、SaaS製品などプロダクトの新規ユーザーが使い方に慣れるまでのサポートも「オンボーディング」と呼びますが、これはいわゆるカスタマーサクセスの一部。今回の記事では取り上げません。