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インキュベーションの虚と実

ピボットは罪か必然か
カン違いせず、大胆にやる事業転換

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第21回】 2013年2月18日
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 ピボットという言葉をご存じだろうか。この2、3年、米国のスタートアップ界隈でのキーワードの一つとなっているピボット(Pivot)は、バスケットボールで軸足を残してもう一方の足を動かす動作や、ダンスの片足旋回の方が馴染み深いだろう。しかし、ここでは事業転換を意味する。

 特に、スタートアップが事業のあり方を模索している段階で行う大きな方向転換として知られてきたが、最近では大企業もピボットについて学び、自らの新事業や事業転換に生かそうと熱心だ。「ピボット」をテーマにしたカンファレンスが開かれるくらいだ。

 しかし、やたらよく聞くバズワードにもなっていることもあり、ピボットの誤謬といった批判的な声も聞かれる。今回は、このピボットについて議論したい。

スタートアップにおいて
ピボットとは何か?

 ピボットという言葉を広めるのに一役買った書籍「リーン・スタートアップ」の著者エリック・リース氏によると、ピボットとは「製品やビジネスモデル、成長エンジンについて根本的な仮説を新しく設定し、それを検証するための行動」である。簡単に言うと、事業の方向転換だ。当初の仮説がハズれていることはよくある。ターゲット顧客や製品のフィーチャーをはじめ、解決しようとする問題そのものや儲けの仕組みなど、大きな転換を余儀なくされることは珍しくない。

 リース氏があげる主な10タイプは以下の通り:

・ズームイン型:(いくつかのうち)一つの機能にフォーカスする。
・ズームアウト型:それまでの製品がより拡大したものの一部となる、製品拡大。
・顧客セグメント型:ターゲット顧客の変更。
・顧客ニーズ型:想定していた課題が重要でなかったり、対価を支払えない場合は、対象とするニーズを変更あるいは再定義する。
・プラットフォーム型:アプリケーションからプラットフォームに、あるいはその逆の方向転換。
・事業アーキテクチャー型:低マージンで量を追うか、量を追わないが高マージンを狙うか。
・価値獲得型:どのようにマネタイズするか、売上をどう獲得するか。
・成長エンジン型:バイラル(クチコミ)、顧客定着化、(広告など)マーケティング投資、の三つがあるが、その転換。
・チャンネル型:販売・流通チャンネルの転換。
・テクノロジー型:用いる技術の転換。

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本荘修二 [新事業コンサルタント]

多摩大学客員教授、早稲田大学学術博士(国際経営)。ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK/セガ・グループ会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。500 Startups、NetService Ventures Groupほか日米企業のアドバイザーでもある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

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