志賀氏 経産省も地方の経産局とも連動して「ミカタプロジェクト」なるもので動き出していますよ。部品企業はみんな迷っているんですから。海外では特に欧州が割り切って進んでいますね。マフラーやトランスミッションなどの部品企業が集約したり残存者利益を得たりすることで、新規事業への構造転換に動いています。その意味では、日本は一口で言えば「じれったい」のが本音です。

――それでは、日本の自動車産業はどうすればいいんですかね。

志賀氏 その意味では、自動車は日本の市場だけでは食っていけない。日本だけではガラパゴスになってしまう。世界のトレンド、マーケットの動向に対抗してやっていかねばならない。

 OEMサイドはそれができちゃうんですが、部品系はどうなのか。35年には欧米でエンジン車が販売できなくなるが(欧州は合成燃料限定でエンジン車容認に転じた)、日本ではハイブリッド車も含めて電動車として容認されているから、エンジン車は残るとされる。だから20年先なら何もしなくていいよね、との考えにもなる。

 国全体で35年、40年が見えているかどうかが分かりづらいのが問題なんです。日本のマーケットも縮んではいるが、年間約500万台販売しており35年にEVが4割、40年には8割となると、そこに向かって対応しなければならない、ということです。

――EVシフトとともに、この100年に一度の大変革におけるCASE関連で産業構造の転換を促すのがソフトウエアといわれています。EVと自動運転は親和性が高いし、つながるクルマなども含めてソフトウエアがカギを握る。

志賀氏 そう、もう一つ日本自動車産業の方向の中で心配しているのが、ソフトウエアですね。独フォルクスワーゲン(VW)なども苦労しており、世界中の自動車メーカーがソフトウエアとEVをパッケージで考えて、自動運転も含めた競争力をどう維持していけるかということを考えています。