「上司は役割」と心得る

「管理職」という表現からすると、上司とは「人の上に立ち下の者を管理する者」と捉えられがちです。

 皆さんも「上司たるもの、人の上に立つ以上は…」「上司は一段偉く、立派な立場にいなくては…」と、つい肩に力が入ってはいませんか。

 しかし、「部下を信じて任せる」支援型マネジメントを行う上では、上司というのはあくまで「役割」だと心得ることが第一です。

 皆さんの中には、PTAの会長やマンション管理組合の理事長などの経験がある方もいるでしょう。PTAやマンション管理組合では、メンバーの立場は対等で、役員も持ち回りです。会長や理事長だからといって、特別に偉く立派なわけではありません。仕事振りや人柄が評価されることはあっても、「私が会長だから言うことを聞いて!」「理事長の私の指示には黙って従って!」などの態度は、通用しません。

 また、PTAやマンション管理組合は、多様な人の集まりです。PTAの保護者には共働きの人もいれば専業主婦(夫)もいます。働く人も、職業や勤務形態はまちまちです。マンション管理組合ともなれば、高齢者から若者まで年齢層も幅広いでしょう。互いの立場や価値観も多様です。そこでメンバーをまとめあげ、組織の仕事を遂行する際に、指示・命令で人を動かすことはできません。メンバー一人ひとりと対話し、相手の考えを聞き、合意を取り付けながら、各自の希望や持ち味に応じた仕事を任せていくしかありません。

 私は、時代変化によって、職場における上司の役割は、このPTA会長やマンション管理組合の理事長と同じになってきていると考えています。