「任せる」とは、部下に責任と主体性を付与すること

 私たちが実施する「上司力(R)研修」で、この「部下の違いを許容し、一人ひとりの持ち味を活かし、信じて任せる」というお話をすると、「部下の自分勝手を許していいのか」「そんなに甘やかしていいのか」との意見が一部に見られます。

 しかし、「信じて任せる」ことは、部下にとって決して甘い話ではありません。「自分の持ち味が認められ、信じて任せてもらう」ことは、「自分が責任を負う」ことと同義。上司に責任転嫁することなく、自ら最大限、達成に努める姿勢が求められるからです。上司にも、余計な手出しをしない覚悟が求められます。

 試合でボールを持っているのは、あくまでも部下自身。そのボールをどう運ぶかも、部下次第です。上司の仕事は、部下が才能を開花できる土俵をつくり、部下同士の協力を促し、応援することです。

 こうして上司が意識を改め、行動を変えることで、部下は生き生きと働き始め、チームも徐々に自走するようになっていきます。自然にチームのパフォーマンスも上がり、一人では決して達成できない大きな成果をチームで上げることも可能になるのです。