背景にあるカット野菜の需要拡大、「いい事ずくめ」のはずが…

 ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏の性加害を告発した男性がSNSで「うそつき」「売名」などと叩かれているように、日本では権威や組織の問題を告発する人に対して、強烈な嫌悪感を抱く人がいる。実際、筆者も自社の不正を内部告発した社員が、「恩をあだで返すのか」「みんなの迷惑を考えろ」と叩かれ、陰湿なイジメにあって会社を去っていく、という姿をこれまで何度も見てきた。

 ただ、今回の異物混入の「自作自演」を疑う人が続出するという現象が起きた最大の原因は、「カット野菜の異物混入リスク」を理解していない消費者が多いからではないか、と個人的には思っている。

 ご存じの方も多いだろうが今、カット野菜の市場が成長している。この10年間で2倍以上となり、昨年度は2000億円近い規模になっているそうだ。

 スーパーで売っているような市販のカット野菜の場合、忙しい人の「手抜き」や「少人数にちょうどいい」というのが人気の秘密だ。しかし、外食チェーンの多くで用いられる「業務用カット野菜」の需要が増えた理由は、主にコストと衛生面によるものだ。

 野菜を厨房で水洗いして、切ってということになると、その作業をやる分の人件費が発生してしまう。しかし、業務用カット野菜を用いれば、袋から使う分だけを出して盛り付けるだけなのでそういうコストはかからない。しかも、野菜を丸ごと購入するよりも安い場合がある。多くの店舗をもつ大手チェーンの場合、野菜から「業務用カット野菜」へスイッチしただけで、かなり大幅なコストカットができるのだ。

 しかも、衛生的だ。スーパーで売っている市販のカット野菜でもたまに「洗わないで食べられます」と書いてあることからもわかるように、多くのカット野菜工場では安全面や衛生面に非常に神経を尖らせている。食べやすい形に切っているだけではなく、食の安全性を担保しつつ殺菌や洗浄もしっかりやってくれる。異物混入がないように、金属探知機やX線などで検査をするような工場もある。しかも、使う分だけ袋から出して消費するので、ゴミも少なく済んで厨房も衛生的なのだ。

 さて、このような話を聞くと、「そこまで食の安全を意識しているなら、異物混入リスクなどそれほどないのでは」と感じる人も多いだろう。しかし、そんな「高い意識」こそが、異物混入リスクを高めているというなんとも皮肉な現実がある。