コクヨが2022年に行った調査では、一日のうち探し物をしている時間は平均およそ13.5分、年間で約54時間に相当するとの結果が報告されています。データを探す時間を加味すれば、年間150時間というのも不自然ではありません。

 整理整頓をすれば、こういったムダな時間も削減でき、仕事のスピードを確実にアップできるのです。

紙の資料は
「すべて破棄」が原則

 整理整頓の基本は、不要な書類を捨てることです。昨今はペーパーレス化もかなり進んできましたし、紙の資料も簡単にデータ化できます。あえて紙のまま書類を保管しておく必要性がありません。

 終わった仕事、完結したプロジェクトの資料については、原則的には残さず速やかに処分しましょう。

 他人から借りた資料は、責任を持って確実に返却し、廃棄すべき資料はシュレッダーにかけてから捨てます。資料には自社はもとより他社のデータが記載されていることもあるため、万が一の流出防止に備えて慎重に取り扱いましょう。

 中には「この資料は後々何かの役に立つかもしれない」と思えるような資料もありますが、私の経験上、実際に保管していた資料が役立った経験は皆無です。

 特に最新情勢を分析するような資料は、時間経過とともに急速に価値が失われます。たとえば、現在は人口が減少していく日本における労働力の代替として、チャットGPTに代表されるAI技術をいかに活用するかが関心事となっているように、わずか1年前のデータでさえ、現状の理解に役立たないのは誰の目にも明らかです。