赤ちゃんをだっこしながらベビーカーを押す母親写真はイメージです Photo:PIXTA

スープストックトーキョーが「離乳食の無料提供」を発表したことで、ファミリー層以外を切り捨てていると炎上。子育て世帯への支援が、思わぬ火種を生んだ形だが、ネット上では子育て世帯とそれ以外の世帯の対立、分断が広がり続けている印象だ。政府の的はずれな子育て支援も含め、日本はなぜ「子育てしにくい」と感じる国になってしまったのだろうか。(清談社 吉岡 暁)

子育てへの不寛容な発言が
目立つようになった理由

 日本の少子化が止まらない。厚生労働省が発表した人口動態統計(概数)によると、2022年に生まれた赤ちゃんの数は前年より約4万人少ない79万9728人で、1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込む過去最低の数字となった。またBIGLOBEが18~25歳の未婚男女500人に実施した「子育てに関するZ世代の意識調査」では、Z世代の若者のおよそ5割が「将来的に子どもはほしくない」と回答。少子化問題の根深さを感じる結果となった。

 深刻な少子化が進むなかで、前述のスープストックの件のような子育て世帯を巡る対立や炎上も珍しいものではなくなった。実際に日々、子育てに奮闘する人々は「子育てをする上での窮屈さ」を感じることも少なくないようだ。埼玉で育休中の会社員、Mさん(32歳)は、最近まさにそれを痛感した出来事があったと話す。

「子どもの泣き声や足音がうるさい、と同じアパートの住人がクレームを出したようで大家さんに注意されました。もちろんできるだけ静かに生活するよう気をつけていますし、小さな子どもがいる以上どうにもできないこともあります。引っ越すのも難しく、毎日ビクビクしながら生活しています」

 近年、こうした子育てへの不寛容とも取れる発言が、目立つようになったのはなぜなのか。