価値観と原則を守り抜く企業は
逆境を乗り越えられる

 企業が保守派の批判や攻撃に屈しないようにすることは、ビジネスの面からも重要だとの指摘が、経営の専門家から出ている。

 約30年前にLGBTのマーケティングを専門に行う会社「ウィテック・コミュニケーションズ」を設立したボブ・ウィテック社長は6月26日、PBSニュースアワーの番組でアンハイザー・ブッシュの対応についてこう述べた。

「最悪だったのは企業としての対応がプロらしくなかったことです。全てを敵に回してしまったような同社の立場には、誰もがなりたくないと思ったでしょう。企業の評判、これが問題でした。売り上げはすぐに変動するが、いったん広まってしまった評判を取り戻すのは容易ではないのです」

 つまり、先述したようにバドライトの売り上げはキャンペーンの中止後に減少したが、それはLGBTの人々や彼らの権利を擁護する団体などを含めた全ての人を敵に回してしまった結果ではないかというのである。

 それからウィテック氏は、「攻撃されたら、立ち向かうべきです。そうすることで、市場では誠実さ、高潔さを持った企業としてのイメージが備わっていくと思います。嵐は来てもやがて去りますが、会社の評判や立場は違います。それこそが試されているのです」と続けた。

 最後に同氏はLGBTのマーケティングを行う企業にこうアドバイスした。

「まず企業として何を支持し、どういう価値観や原則を持っているかの答えがわかっていることです。それがわかっていて守れる自信があれば、どんな逆境や問題も乗り越えられるはずです」

 つまり、企業としての信念と覚悟をしっかり持ち、いざというときのための準備をしておくということである。